LIFESTYLE人生100年時代
スマートエイジングのために、住まいができること
November 30, 2022

医療施設の充実した宮城県仙台市青葉区二日町にて、「健康」を軸とした商品として企画された「プラウドタワー仙台晩翠通サウス&セントラル」。世界一の長寿社会である日本において、長い人生を豊かに暮らすために、住まいは何ができるのでしょうか。医学的な視点を取り入れて展開される暮らしとはどのようなものなのでしょうか。前半は企画を監修した脳機能開発研究の国内第一人者である東北大学加齢医学研究所 所長の川島隆太教授にお話を伺い、後半は野村不動産で事業の開発・推進を担当した柳竜馬氏が、企画の背景や目指したものについて語ります。

川島隆太教授Kawashima Ryuta
1959年生まれ。千葉県千葉市出身。1989年東北大学大学院医学研究科修了スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学加齢医学研究所助手、同講師、東北大学未来科学技術共同研究センター教授を経て、2006年より東北大学加齢医学研究所教授。2014年東北大学加齢医学研究所 所長。2017年東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター センター長。
柳竜馬Yanagi Ryoma
2010年入社。入社後設計部門に配属。その後住宅部門に異動し、首都圏エリアのプラウドの商品企画・事業推進業務等の経験を積んだのち、2017年に仙台支店住宅事業部へ。分譲マンション事業の用地取得段階から、取得後の設計・現場管理、顧客引渡後のアフターサービスまで幅広く携わっている。

加齢は、退化ではなく発達。
頭、身体、食事、コミュニケーションを意識する暮らし。

東北大学加齢医学研究所で脳の研究をされている川島教授は、
死ぬまで脳を元気な状態に保っておくためにはどうしたら良いのかということを考え
認知症をゼロにすること目指して研究に取り組まれています。

「平均寿命は年々伸び続けて、いま日本は高齢化率が世界一の『超々高齢社会』です。認知症も増え続けて、厚生労働省によると2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています。単に長生きするのではなく、いかに長生きするかが問われる時代なのですが、ここで重要になってくるのが『スマート・エイジング』という考え方です。スマート・エイジングでは、年を取ることは退化であり醜いというマイナスのイメージではなく、年齢を重ねることは人間の発達であって、いくつになっても人間は成長できるというように捉えています」

このスマート・エイジングの考え方に共感をした野村不動産が
川島教授にご相談したことから生まれたのが
「Wellness Connect(ウェルネスコネクト)」を導入した暮らしです。
ではウェルネスコネクトは一体どのようなものなのでしょうか。

WellnessConnect図

「ウェルネスコネクトは、スマート・エイジングを実践するための4つの原則である『毎日の生活の中で、きちっと頭を使う』『身体をしっかりと動かす』『バランスの取れた栄養をとる』『人とコミュニケーションをする』というメニューで構成されていて、マンション内にはこれらを実践するにふさわしい共用施設や設備が整っています」

⼤学の最先端の知恵を詰め込んだ‥というとアカデミックで難しそうに聞こえるかもしれませんが
実際は、運動や食事、コミュニケーションといった当たり前の生活を意識していただくことで、
健康的な毎日をサポートしていく試みだと川島教授はお話しされました。

子育て後の40年を楽しく過ごさないと
人生はもったいない。

また、住まいのあり方は、これまでの日本のスタイルのままでは
うまくいかないのではないのではないかとも川島教授は指摘しています。

「住宅ローンを組んで家を建てても、払い終わる頃には子どもたちが巣立っていく。子育て期間を約20年だとすると、その後の生活は約40年あります。子どもたちのいなくなった家で、これからも暮らし続けるのか。果たしてそれが夫婦二人、もしくは一人で過ごすのに、適した住居なのかは真剣に考える必要があるでしょう。この40年をいかに楽しく過ごせるかを考えないと、100年時代の人生はもったいない。子育てを卒業したら、卒業した人同士が普段の生活の中で顔を合わせて趣味に興じるようなことができるスペースやソフトがあることが大切です」

周りには、子育て中の若い世代が住んでいて、
高齢者が子どもたちを見守ることで、安心して暮らすことができる。
そのようなコミュニティ、地域との積極的な関わりを促す街を作っていくことも、
人生100年時代のポイントになってくるでしょう。

脳検査が始まっている。
運動指導も賑わっている。

「このエリアで最大規模の物件開発だったことや、周囲にクリニックが多いことから、健康を軸とした商品企画をすることになりました。川島教授が提唱されている、加齢は退化ではなく成長であるという『スマート・エイジング』の考え方に非常に共感してご相談したところ、川島教授も日常生活の過ごし方は健康寿命に大きく影響するとお考えで、たくさんのアイデアを出していただきました」

さまざまな連携先の候補も挙がった中で、
実際の物件には何が落とし込めるのか、何がみなさんに喜んでもらえるのか、
まとめあげていくところに苦労とやりがいがあったと柳氏は言います。

また、企画の中心であるウェルネスコネクトに基づいて、
脳、運動、食、コミュニティのサポートをするという新鮮な取り組みは、
入居をされたみなさんも楽しみにされていたそう。
いよいよ2022年の4月から脳検査の予約も始まっています。

「マンションコンシェルジュに申し込むだけで、脳ドックや認知機能検査、画像検査といった脳に関する専門的な検査を受けることができるサービスがスタートしました。最新のITサービスによって解析された結果からは一人ひとりにレポートも作成されるんです。運動、食事、睡眠のスタイルなどは一人ひとり違うわけですから、自分に必要なアドバイスに基づいて生活を組み立てられるということは、人生100年時代のひとつのヒントになりえるのではないでしょうか」

地元のスポーツジムが監修した
フィットネスルームも賑わいをみせています。

「普段はママたちが小さなお子さまを遊ばせる場などにも使われていますが、月に一回はヨガや社交ダンス、ピラティスなどトレーナーによる特別指導が受けられます。このレッスンはいつも応募がたくさんあって大盛況ですね。フィットネスルームに置いてある最先端の脳トレ機器 次世代ブレインフィットネスも、小学生や中学生がゲーム感覚で遊んでいたりと、みなさん気軽に試されています」

また、運動指導と同じ日に開催される栄養士のセミナーには
20-60代と幅広い世代の方から関心が寄せられています。

完璧でなくてもいい。
興味のある健康アクションを。

本マンションの目的は、健康寿命を長くするという非常に大きなものであるぶん、
すべてを完璧にこなさなくてもいいと柳氏は考えています。

「健康寿命に意識を持ってもらえたらうれしいんです。脳検査を受けて、アドバイス通りに運動して、料理して、睡眠を整えて…とフルセットでやらなくてもいい。気になったところをかいつまんでもらってもまったく構いません。脳検査を受けてフィードバックをもらったら、なんとなく心に留めますよね。それがきっかけで週1回でも運動や脳トレを始めてみるかもしれない。栄養士のセミナーを受けて、試したくなったものがあったら、すぐにスーパーに行って食材を買ってみるかもしれない。肩肘張らずに、暮らしの中で自然発生的に健康寿命につながるようなアクションが生まれたらいいですよね」

さらにマンションコンシェルジュを積極的に活用してほしいと続けます。

「マンションコンシェルジュを気軽に相談できる存在にしていきたいですね。マンションコンシェルジュは地域で開催するイベントの案内などはもちろんするのですが、趣味のサークル活動の立ち上げもお手伝いします。釣り、バイク、スポーツ、ボードゲーム、クラフト、料理…なんでもいいんです。好きなものを通して身近に仲間ができたら毎日楽しいと思いませんか?」


「プラウドタワー仙台晩翠通サウス&セントラル」は、
ウェルネスコネクトが導入されたマンション第1号。

“単に長生きするのではなく、いかに長生きするか”という課題に対して
今回の取り組みがよい事例となり
ウェルネスコネクトな暮らしの輪が広がることを柳氏は思い描いています。