「TOMORE(トモア)共創ライフプロジェクト」は、つながることの豊かさを見つめ、新たなライフスタイルの可能性を考えるプロジェクトです。2021年11月には、多様な人たちが集うコワーキングスペース「TOMORE zero」を、東京・人形町にオープン。働き方や暮らし方、人とのつながり方が多様化している中、TOMOREはどのような未来を描こうとしているのか。本事業を推進する3名に話を聞きました。
高層ビルが建ち並ぶ東京駅の東側に位置する、人形町・浜町エリア。今なお下町情緒あふれるこの町の一画に、TOMORE zeroはあります。
「野村不動産は現在、グループビジョンに『まだ見ぬ、Life & Time Developer』を掲げています。TOMORE zeroは、まさにこの『まだ見ぬ、Life & Time』をデザインしている事業だと捉えています」
そう話すのは、本プロジェクトのリーダーを務める黒田氏。TOMOREが描くLife & Timeとは何なのか、それは「フラットなつながり」だと続けます。
「TOMORE zeroは、『仲間とつながる』場所を目指しています。具体的には、仕事だけの一時的な関係性ではなく、利害関係のない持続的なつながりです。変化の激しい昨今の社会では、決められたレールの上を進むのではなく、もっと自由に自分の可能性を拡げたいと想う方々が増えていくと感じています。とはいえ、何か新たな可能性に一人で挑戦するのは簡単なことではありません。だからこそ、お互いに信頼し、助け合って、学び合い、高め合える。そんなフラットなつながりが必要ではないでしょうか」
黒田氏が中心となり、小林氏、中北氏と共につくり上げたTOMORE zero。現在は多種多様な年代・肩書の方が利用していると、小林氏は言います。
「利用者の割合としては近隣の方が多いですが、遠方に住みながら仕事で上京される際に来られる方もいらっしゃいます。年齢や職種はさまざまですが、全員に共通しているのは、人と人との本質的なつながりを求めているという点です。私もコロナ以降、本当に深いつながりを形成するにはリアルな場で交流を重ねることが大切だと痛感しました。損得勘定を度外視した、やわらかでフラットな関係構築。こうした価値を、TOMORE zeroは提供できていると確信しています」
空間内にいる人たちが深いつながりを築けるよう、自然にコミュニケーションが生まれる環境づくりを心がけたと、空間開発を担当した中北氏は答えます。
「自然な交流を生むために、細かいグループに分かれられるよう工夫をしました。間仕切りはありますが高さは極力低く目立たないようにして、オープンで安心できる空間としています。また、『ソーシャル・リビング・ダイニング』エリアでは、『リラックスして過ごす』ことをマインドセットするため、靴を脱いで入場する設計に。場の雰囲気に加え、自然とプライベートに近い心地で過ごせる場所を目指しました」
ゆるやかで深いつながりを創出するためには、空間設計というハード面だけではなく、運営というソフトな部分もキーになる。黒田氏は、企画段階からそう感じていたと言います。
「野村不動産は、建物や空間をつくることに長けていますが、その中のコミュニティ運営に関するノウハウや知見などはまだまだこれからです。そのため、コミュニティづくりにおいては、外部パートナーとの共創は不可欠だと思っていたのです。さまざまなコワーキングスペースやシェアハウスを見学する中で出会ったのが、数多くのコワーキングスペースの立ち上げや運営を行っているMIRAI-INSTITUTE株式会社でした」
特に感銘を受けたのが、運営スタッフもコミュニティの一員として溶け込んでいる点。そのやわらかなコミュニティづくりがTOMOREの目指す世界と合致したことから、運営パートナーという形で協業が実現したと言います。
「利用者がひと息ついているときに、コーヒーやおやつを手に談笑する。そんな自然な空気を、コミュニティオーガナイザー※が中心となって生み出してくれていると感じます。オープン当初はインテリアや空間など『場所』としての評価をいただくことが多かったのですが、最近では『ゆるくコミュニケーションできる』『自然とコラボレーションが生まれる』など『コミュニティ』としての評価が高まってきています。『家』や『るつぼ』、『部活』など、もはやコワーキングスペースから離れたユニークな表現をする方も。その変化や捉え方が、我々としてはとても嬉しいですし、面白いと感じているポイントです」
※働く場所として居心地の良い状況を提供、追求し、生活の一部として自然に足が赴く場所になるよう、メンバーとコミュニケーションを図るスタッフのこと
利用者同士やコミュニティオーガナイザーがお互いを理解し合うための企画やイベントも、次々と生まれています。たとえば、月に1回実施されている「TOMORE MEMBER’s Talk」。利用者が毎月リレー形式で登壇し、自身のキャリアや生き方を全員の前でプレゼンテーションするイベントです。普段はあまり接点のない人も、仲間のことを知ることができ、親交を深めるきっかけとなっています。
「プライベートでやってみたいことをみんなで楽しんだり、ふとした会話から新しいビジネスが誕生したりと、日々の交流を通じて大小さまざまなコラボレーションが生まれています。利用者の方々からも『他のコワーキングスペースでは生まれなかったフラットな関係が築ける』と感謝の言葉をいただく機会も多く、私たちが目指してきた世界は間違っていなかったのだと強く感じます」
3名はTOMOREの今後について、どのようなビジョンを描いているのでしょうか。
「人形町のスペースに『zero』と付けているのは、TOMOREはこれが完成形ではないと思っているからです。できる限り『暮らしの中で働く』をイメージした空間設計にしていますが、まだコワーキングスペースという範疇からは脱却できていません。今後はコワーキングスペースだけではなく、シェアハウスという『住』の機能も融合した、新しいライフスタイルを社会に提供していきたいと考えています」
黒田氏の決意に、中北氏も続きます。
「TOMORE zeroにおける利用者の過ごし方は、設計当初のイメージとおおよそ合致していますが、利用者の行動を見ていると『もっとこうしたほうが良くなるかも』という考えも湧き上がっています。そうした気づきを、今後のTOMOREの商品設計や運営に活かしていきたいです」
小林氏は、拠点を増やすと同時に、拠点を超えた交流も生み出していきたいという夢を描きます。
「拠点が増えるにつれメンバーも増えて、より深くて面白いつながりも生まれやすくなると思います。そうしたときに、拠点を超えて共通の趣味やスポーツで集まる『●●部』のような活動が次々とできてきて、全国の入居者同士がつながっていくことを考えると、今からとてもワクワクしますね」
「共(TOMO)」に「もっと(MORE)」という願いがこもったTOMOREのプロジェクトは、まだ始まったばかり。多彩な人が混じり合うこのコミュニティから、新しい未来が次々と生まれていくのでしょう。
あなたの生活のそばに、TOMOREがやってくる日は近いかもしれません。
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