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会社員でも知っておきたい! 確定申告のポイント

#学ぶ #マネー
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「確定申告」というと、フリーランスや個人事業主がするものと思われがちですが、会社員でも確定申告が必要な人や、確定申告をすれば税金が戻ってくる人がいます。この記事では、会社員にとっての確定申告の基本から具体的な手続きまで、知っておくとお得な情報を解説します。
  

大石泉

ファイナンシャルプランナー CFPⓇ。1級FP技能士。宅地建物取引士。産業カウンセラー。大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。住宅雑誌の編集・制作に約15年勤務の後、’01年にFP事務所を設立。老若男女を対象に新聞による経済教育、ライフプラン、資産形成などの講座や研修を大学や企業へ展開。個人向けにはファイナンシャル・プランニング、ライフ&キャリアプランニングを提供。金融リテラシーの普及活動が評価され、金融庁と日本銀行から2014年度金融知識普及功績者として表彰される。

会社員にとっての確定申告とは?

確定申告とは、1月1日から12月31日までの個人の所得に対して、所得税を申告し、納税するものです。所得税は、一年間の所得に対して決まりますが、同じ所得でも個人の事情などを勘案して税額は異なります。個人の事情を勘案する仕組みが「控除」で、控除できるものが多いほど税額は減ります。確定申告は、所得や控除をもとに所得税の金額を算出し、申告するものです。

何らかの所得がある人は確定申告をしなくてはいけませんが、多くの会社員は確定申告をする必要がありません。会社員は、給与から源泉徴収によって所得税があらかじめ差し引かれており、年末調整によって正確な税額を計算し、過不足分を精算します。

会社員で確定申告をしないといけないケース

給与所得がある人で、以下の条件にあてはまる場合は確定申告をする必要があります。

・年間の給与収入が 2,000 万円を超える
・給与所得および退職所得以外の所得が20万円を超える
・2か所以上から給与を受け、年末調整されなかった給与収入と他の所得(給与所得および退職所得以外)の合計額が20万円を超える


特に、副業などの収入がある場合は注意しましょう。その所得(収入から必要経費をひいた金額)が 20 万円を超えると確定申告をする必要があります。株式投資などで 20 万円を超える売却益や配当金を受け取った場合も、原則として確定申告をしなければなりません(証券口座が「特定口座(源泉徴収あり)」の場合は、確定申告は不要)。

確定申告をすると税金が戻ってくるケース

年末調整をした後に確定申告をすると、税金が戻ってくる場合もあります。年末調整で申請し忘れたものがある場合、確定申告を行うことで正しい税額が計算され、税金が戻ってきます。年末調整後に事情が変わった(結婚して相手が扶養配偶者になった等)場合も、確定申告をすることで税金が戻ってきます。

また、確定申告でしか申請できないものもあります。所得税がどのように決まるかや、これらの申請をすることで税金が減る仕組みについてご紹介します。

所得税は控除額が多いほど税金が安くなる

所得税は、個人の1年間の所得に対してかかるものです。ただし、所得のすべてに対して課税されるのではありません。個人の事情を勘案して所得額から「控除」と呼ばれる金額を差し引き、その残りに対して税金がかかる仕組みです。この控除額が多いほど税金が安くなります。申請漏れがないようにしたいものです。

控除の中で年末調整での申請漏れが多いものは、以下の通りです。

・ 配偶者控除、配偶者特別控除(*1)…年間所得が133万円以下(*2)の配偶者がいる
 ・扶養控除…16歳以上で年間所得が48万円以下(*3)で生計が同じ親族がいる
 ・社会保険料控除…本人や生計が同じ親族の社会保険料(国民年金、健康保険等)を支払った場合
 ・生命保険料控除…対象となる生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合
 ・地震保険料控除…対象となる地震保険料を支払った場合
 ・小規模企業共済等掛金控除…個人型確定拠出年金(iDeCo)等の掛金を支払った場合


(*1)納税者本人の年間所得金額が1,000万円以下のみ
(*2)給与のみの場合は給与収入が201.6万円以下
(*3)給与のみの場合は給与収入が103万円以下(令和7年は一部変更される予定)


年末調整後に家族の状況が変わった、保険料を支払った証明書が年末調整後に出てきた場合などは、確定申告をすることで税金が戻ってきます。

また、確定申告でしか申請できない控除もあります。

 ・医療費控除…本人と生計が同じ親族の医療費が10万円(*4)を超える
 ・寄付金控除…指定された団体等に寄付をした場合(*5)
 ・雑損控除…災害や盗難等で資産に損害を受けた場合
 ・住宅ローン控除(初年度のみ確定申告が必要)(*6)…住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得または増改築等をした場合


(*4)所得金額が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額
(*5)会社員がふるさと納税をした場合、5か所以内の寄付でワンストップ特例があり、確定申告は不要
(*6)2年目以降は年末調整で申告可能


これらに該当する場合は、確定申告で控除の申請をしましょう。


確定申告の進め方

実際に確定申告をする際に必要な書類は、「源泉徴収票」です。会社員の場合は、年末から 1月にかけて、会社から配布されます。年末調整によって納めた税額や所得の情報が記載されています。これらの情報を基に確定申告を行います。また、証明書が必要な控除の場合は、その書類も準備します。生命保険料控除などには保険料控除証明書、医療費控除には医療費の領収書などが必要です。

申告の方法には、税務署などで配布されている申告用紙に直接記入して提出する方法と、インターネットを利用する方法があります。インターネットを利用する場合、国税庁の「確定申告書等作成コーナー(*7)」を利用します。案内される通りに金額などを記入していくと、自動的に税額が計算されます。控除を新たに申請した場合は、還付される税額が示されます。申告の方法には 2種類あります。

1)e-taxで提出
マイナンバーカードとマイナンバーカード対応スマートフォンを利用して提出します。マイナポータルとも連携が可能で、証明書等の書類を一括取得することも可能です(各種証明書発行元が対応している場合のみ)。マイナンバーカードが無い場合は、税務署でIDとパスワードを取得すれば、これらを利用して申告できます。スマートフォンやパソコンで自宅からいつでも申告できます。

2)確定申告書を印刷して提出
確定申告書等作成コーナーで入力した申告書を印刷し、税務署に持参するか郵送で申告します。

(*7)国税庁確定申告書等作成コーナー https://www.keisan.nta.go.jp/

還付申告は5年さかのぼって可能

確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日です。令和7年の2月16日は日曜、3月15日は土曜にあたるため、令和6年分の申告期間は令和7年2月17日から3月17日です。

ただし、税金の還付を申告する還付申告は、翌年1月1日から可能で、過去5年さかのぼって申告することができます。令和2年分以降の還付申告は令和7年12月31日まで可能です。過去の医療費のレシートなどが出てきて、医療費控除の対象となる場合は、還付申告をすることで税金が戻ってきます。

会社員も確定申告を利用して賢く節税を

ふるさと納税のワンストップ特例を利用した場合には、注意が必要です。特例を利用した後で確定申告すると、ワンストップ特例の申請が無効となります。ふるさと納税の寄付金控除を再度申告する必要があります。

会社員にとって、年末調整や確定申告は唯一の節税対策ともいえるでしょう。確定申告は難しく感じるかもしれませんが、e-Tax での申請は操作性が向上し、使い勝手もよくなりました。確定申告をすることで税金が還付される方は、源泉徴収票を手元に置いて、ぜひ利用してみてください。

※掲載の情報は2025年2月時点の情報です

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