ホテルに求めるのは、心身ともにくつろぎながら、でも普段では味わえない非日常の楽しみがあること。
今回は、特別な時間が過ごせるこだわりのホテルがあると聞き、早速取材に訪れました。
ノーガホテル 秋葉原 東京は、テレビ番組「日経スペシャル ガイアの夜明け」にも取り上げられたノーガホテル 上野 東京に続く、シリーズ2号店の話題のホテル。仕事柄、ホテルでの宿泊が多い建築の専門家が取材レポートをお届けします。
秋葉原というと電気街と言うイメージをお持ちの方も多いのでは?実は秋葉原は、様々な顔を持った多様性に富んだ、とても懐の深い街です。
例えば、昭和初期から平成の時代までは神田青果市場があり、食の台所的存在であり、1970年代からはオーディオの街、音楽の街として有名です。
21世紀になるとアートセンターや最先端のEスポーツの施設が誕生。もちろん日本のカルチャーであるアイドルやアニメの聖地であるなど、訪れてみるととにかく多様性に富んでいて、電気街というイメージがくつがえります。
つまり秋葉原の魅力は人によって異なり、様々な年代の人たちがそれぞれに楽しみを見出すことができる街であるということ。そんな街の中心部、銀座線「末広町」駅から徒歩4分という立地に「ノーガホテル 秋葉原 東京」が誕生しました。
ホテルの前に立った瞬間、下町「秋葉原」の喧騒が消え、そのシックで洗練されたデザインに圧倒!これから1日を過ごす場所ですから、エントランスの雰囲気はとても重要です。
自動ドアを開けて中に入ると、煌びやかなバーカウンターに出迎えられ、その横を抜けて吹き抜けを上った2階がフロントです。このバーカウンターの奥が、ホテルのダイニングで、お店の人が、Buongiorno!いらっしゃいませ!と声を掛けてくれて思わずにっこり。
まるでブルックリンのダウンタウンにあるイタリアンレストランを思わせる内装、ダイナミックで品のよいインテリア、シンプルでさりげないフロアの誘導サインがとてもおしゃれ。更に期待が高まります。
ノーガホテル 秋葉原 東京は、野村不動産グループが手掛けた初のホテル「ノーガホテル 上野 東京」に続く、2つめのホテルです。
野村不動産がなぜホテルを作ったのか?他のホテルとはどこが違うのか?などについて、NOHGA HOTELの立ち上げにたずさわった野村不動産都市創造事業本部ホテル事業部一課長であり、ホテル総支配人の中村泰士氏にお話を伺いました。
野村不動産はマンションづくりで定評がある会社です。マンションの計画時は、街の魅力を探し、その街に相応しい住まいを提供するために、近隣の商店など100軒以上をスタッフ自らが巡ります。プラウドシリーズのコンセプトも、住む人に世界一の時間を提供したいというもの。
ホテルも同じように、訪れる人に地域の魅力を最大限に活かした幸せな体験をして欲しい、そして街そのものも活性化していきたい、そんな思いを込めて計画がスタートしたそうです。
NOHGAという個性的な名前は、野村の「N」と、思いがけない幸せ、恩恵などを意味する「冥加」を組み合わせたもの。
街そのものも楽しんで欲しいという思いから、上野及び秋葉原出店時を合わせて近隣600軒以上を巡り、そこから178軒をセレクト。スタッフたちが自分たちで感じたことを綴った「GUIDE BOOK」「NOHGA EXPERIENCE MAP」が生まれました。これぞまさに野村流!フロントを始め、館内のスタッフの皆さんたちのおもてなしもとても清々しく、幸せな気持ちにさせてくれました。
また、ホテルを出発点にした街の魅力を探るガイドツアーも定期的に開催。【9月末よりツアー販売開始しました。】神田明神や万世橋などの古い街並みを巡る秋葉原ノスタルジックツアーなどもあり、東京を再発見する街歩きが楽しめそうです。
館内を巡って感じるのは、隅々までのこだわりと、そのクオリティの高さです。
例えばこちらは非常階段の中庭スペースですが、NOHGA HOTELにかかればこんなアーティスティックな空間に。どこもかしこも映えるところばかりで、皆さん館内中を写真に撮っていかれるそうです。もちろん私も夢中になって撮影をしました。
またホテル内には様々なアート作品が展示してあります。キュレーションは「IDÉE」創始者である黒﨑輝男氏と若手アーティストの発信を行う大矢知史氏によるチームと、アーツ千代田3331によるもの。気に入れば購入もできます。
エントランス、エレベーターホール、廊下、テラス、そして非常階段スペースに至るまで、様々なアートで彩られ、ホテルと言うよりまるでアートギャラリー!とにかくホテルの中を歩いているだけで、感性が刺激され、楽しい気持ちになれます。
秋葉原は音楽の街の顔も持っています。ノーガホテル 秋葉原 東京では、そんな街の文化に焦点を当て、徹底的に音にこだわったシステムを各所に配備、素晴らしい音の体験ができます。
館内のスピーカーはそれぞれの空間の特性にあった製品をセレクト、世界にひとつだけの手作りのスピーカーもあちこちにあります。トイレの中にも壁掛けのスピーカーがあり、まるでオーディオルームのよう!
こちらは2階にあるDJブース付きのテラス席で、厳選されたハイエンドなオーディオが設置されています。テラス席にはゆったりとしたソファーが置かれ、大きな天窓から光がさしこみ、心からくつろげるひと時が過ごせそう。夜は美しくライトアップされ、貸し切りもできるそうです。
もちろん各客室にも高品質なスピーカーがあり、Bluetoothで接続が可能。ホテルの部屋ですることと言えば、テレビを見るか本を読むか。することが無いことも多いのですが、こんな風に大好きな音楽を高音質で楽しめたら、素敵な夜になりそうです。
ホテルに泊まった時の楽しみと言えば朝食です。普段、家ではあまり食べない人でもホテルの朝食だけは別という人も多いのでは?
朝食を頂くのは、ホテルのオールデイダイニング「ピッツェリア&バー ノーガ」です。ナポリから取り寄せた薪釜を備えたオープンキッチンがあるバルのような空間で、レストランゾーンとバーカウンターゾーンに分かれています。
朝食の目玉は何といっても、この薪釜で焼かれた大きなフォカッチャです。これが香ばしくてふわふわで美味しいと大評判!
他に卵料理、スモークサーモンのサラダや、ハムとチーズのプレート、フルーツ、ヨーグルト、スープなどが提供され、飲み物はドリンクコーナーから好きなだけ。卵料理は5種類の中からセレクトができ、中でもエッグベネディクトが人気だそうです。
朝食は、オープンキッチンを眺めながらレストランゾーンで食べてもよし、おしゃれなバーカウンターでもよし。2階のテラス席で朝日の中で頂くこともできます。
実は取材前に、ダイニングのピザが美味しいと言う評判を聞いて、ランチを頂きました。こちらの写真は朝7:00~23:00(22:00L.O)までオープンしている「ピッツェリア&バー ノーガ」のレストランゾーンです。ホテルの入り口とは別の道路沿いにレストラン専用の入り口があります。
レストランゾーンはオープンキッチンで活気があり、中でも大きな薪釜が目に留まります。こちらの薪釜はナポリから取り寄せたもので、火入れに3週間もかかったという本格的な物。この薪釜で朝食のフォカッチャを始め、ピザなどが焼かれています。
私が頂いたのは、大好きなマルゲリータのピザ。生地は香ばしく、薄くしっかりしていて、上に乗っているトマトはたっぷり、香りがよくて酸味が効いていてとにかく美味しい!
シェフに美味しさの秘密をこっそり聞いてみたところ、ナポリの釜に合わせて、ピザの材料はナポリ産で統一しているとのこと。その地ならではの美味しさの組み合わせがあり、ローマ産だとちょっと味が変わってしまうとのことでした。夜はソムリエがセレクトした美味しいナチュラルワインと共に。
ホテルのレストランというと、ドレスアップが必要なちょっと堅苦しい感じか、ビジネスの味気ない感じかのどちらかになってしまうことも多いのですが、こちらは高品質なのにさりげなくカジュアルでリーズナブルというのがとてもいい感じ。ランチ時も、ビジネスマンやおしゃれな女性たちでにぎわっていました。
客室も、そこで過ごす人が幸せであるようにと隅々までこだわられています。
インテリアはゴールドをアクセントとして、真空管をイメージしたデザインのオリジナル照明や、真鍮のティッシュケースなどこだわりのアイテムが各所に。どこか懐かしさを感じさせるレトロな雰囲気が、身も心もリラックスさせてくれます。
こちらはデラックスツインルームで、部屋の広さは35平米とかなり広め。ソファーはホテルオリジナルの造り付けに加えて、フランスのインテリアブランド「リーン・ロゼ」のソファーがさりげなく置かれています。
電気ケトルはバルミューダ、ベッドサイドの集中スイッチはアンプをイメージしているなど、どこを見ても気持ちいいほどのこだわり。
もちろん、スピーカーも素晴らしく、1977年製のヴィンテージスピーカー、VANDERSTEENが設置されています。部屋ごとに様々なメーカーのものが設置されていますので、音で部屋を選ぶのも楽しそうです。
ホテルの居心地を高めてくれるのが、ルームウェアとスリッパです。こちらのルームウェアはアトモスフェール・ジャポンのもの。とても肌触りがよくて着心地がいいのが特徴です。
そしてこのスリッパ!あまりにふかふかで「すごい!」と声を上げてしまったほど。こんなに気持ちのいいスリッパが置いてあるホテルはそうはありません。このスリッパは持ち帰りが可能で、実際に持って帰る人も多いのだとか。
ノーガホテル 秋葉原 東京の特徴のひとつに、ルームウェアをはじめ、ハンガーやティッシュケース、グラス、コーヒーカップなど、地元や近隣地域のデザイナーや企業とコラボしたオリジナル製品が多数使用されているというのがあります。
どれも個性的でデザイン性が高い素敵な物ばかりで、これらも館内に飾られているアートと共に、フロントで購入することができます。
ベッドはアメリカの老舗ベッドブランドであるシモンズ製、枕は再生羽毛を使用したサスティナブルな製品です。もちろんそば殻枕もあります。ベッドメイキングはデュベスタイルと呼ばれる、羽毛布団を丸ごとくるんだタイプですから、身体を伸ばしてぐっすりと眠れそうです。
ホテルで気になるのが水まわりのこと。こちらの写真は、デラックスツインルームの洗面とバスルームです。
洗面所には、真鍮のアメニティケースが置かれています。これが重厚感があって、でも実際に手に取ると軽やかでとても素敵!こちらは地元のデザイン会社「SyuRo」の製品で、もちろん購入ができます。
アメニティはオーガニックのブランド「OSAJI」の製品です。シャンプーはノンシリコン、保湿成分が配合されているので洗い上がりが優しく、香りがよいのでとても人気があり、購入して帰る人も多いのだそうです。
バスルームも広くゆとりがあり、清潔感も抜群!天井にはレインシャワーも取り付けられているので、1日の疲れをのんびりと癒すことができそうです。
今回、ノーガホテル 秋葉原 東京を取材して感じたのは、ホテルは眠るだけでなく、そこでどれだけ豊かな体験ができるか、そしてそこからどれだけの喜びを得ることができるかが大事だということ。
心からリラックスしながらも、非日常を感じ、新しい楽しみや価値観に触れることができたら、もっと幸せな時間が過ごせるのではと思います。
総支配人の中村氏いわく、お客様のターゲットは年齢や国籍もありますが、この街のカルチャーや食、歴史など価値観との出会いを楽しめる方々とのこと。実際に宿泊されるお客様も、観光、ビジネスはもちろん、デザイナーやweb関係の方がワーケーションのために訪れることも多いそうです。
感性が磨かれるような新しい体験ができるノーガホテル 秋葉原 東京、ぜひ一度は泊まりたいホテルです。
本取材は2020年10月に行ないました。
取材当日はスタッフ一同検温をした上、マスクの着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンスを徹底して実施いたしました。