暮らしのTIPS理想のキッチンを目指すリフォーム
トレンドを取り入れた美しく機能的なデザイン
February 13, 2024

システムキッチンの新製品や新プランが相次いで登場。デザインは一層洗練され、キッチン空間は新たなステージへと進化しています。今回は、トレンドを取り入れた美しく機能的なデザインで、理想のキッチンを目指すリフォームをご紹介しましょう。

ノイズを抑えたキッチンデザイン、LDK全体をコーディネート

シンプルなライン、キューブ感のあるデザインがトレンド。昔のキッチンのイメージはなく、スッキリとしていて家具に近い存在になっています(野村不動産分譲済モデルルーム)

今やキッチンはLDK空間の一部です。システムキッチンも従来のイメージとは一線を画した、家具のようなデザインが人気になっています。

以前のキッチンは隠すもの、裏方的な存在だったため、とにかく機能が優先。デザインは二の次になりがちでした。しかし現代のキッチンは、表舞台の中心的存在ともいえるもの。

システムキッチンの存在感は大きく、選び方次第でLDK全体の印象が変わります。洗練された空間にするためには、リビングの飾り棚やソファーを選ぶように、インテリアの要としてのキッチンデザインを意識しましょう。

家具のようなキッチン。オーダーメイドキッチンなら美しいデザインと高い機能性を両立させることができます(kitchenhouse オートクチュール /キッチンハウス

洗練された印象にする決め手となるのは、カウンターや側板の厚み、エッジのデザイン、つなぎ目の処理などの細部のつくりです。

トレンドは、ノイズを抑えたキューブ感のあるデザインで、カウンターはより薄く軽やかに。ムダなラインをそぎ落としたシンプルですっきりとしたフォルムは、「従来のキッチンらしさ」を感じさせず、LDK空間に自然に調和し、違和感なく溶けこんでくれます。

建築やデザイン業界では、よく「神は細部に宿る」と言います。ディテールにこだわることで、本当に美しいものになるという意味です。キッチンリフォームの際には、こういった細部にも注目してみることで、空間の完成度を高めていくことができます。

温もりを感じさせる石目や木目、カウンターの素材も進化

LDK空間の中に美しく溶け込む、温もりを感じさせる石目や木目が人気です(野村不動産分譲済モデルルーム)

キッチンのカラーにも新しい変化が見られます。以前は、清潔感のある白色が圧倒的な人気でしたが、現在は石目や木目、ダークカラーの人気が上昇しています。

カウンターは天然石をイメージさせる石目調やシックな黒系、扉は落ち着きを感じさせる木目調やダークカラー、インテリアのトレンドに合わせやすいグレージュやくすみカラーも人気に。

これもキッチンがリビングの一部になり、インテリア性や快適性を重視する人が増えたから。温もりや癒しを感じさせる色合いに人気が集まっています。

焼き物ならではの味わい深さがあるセラミックのカウンターのキッチン。耐久性がありお手入れも簡単です(リシェルSI /LIXIL

キッチンカウンターの素材にも変化が起きています。これまではステンレスや人造大理石、メラミンなど主流でしたが、最近人気になっているのがセラミックです。

セラミックとは高温で焼成した焼き物のこと。豊かな風合いを持ち、硬く丈夫な素材なので、高温のフライパンを直接置いても変色や変形が起こりにくくなっています。また硬度も高いため、包丁を直接使えるほどの耐久性があり、簡単なお手入れで美しさを保つことができます。

キッチンが暮らしと住まいの中心的な存在となったことで、機能だけでなく、より高いデザイン性やその美しさを保つためのメンテナンス性を求める人が増え、素材もどんどんと進化をしているのです。

コンパクトで使いやすいキッチンのレイアウトも登場

複数でも快適に炊事ができる二列型キッチンは人気上昇中のレイアウトです(野村不動産分譲済モデルルーム)

最新のキッチン空間では、これまでにはない新しいレイアウトも見られます。中でも、最近注目されているのが二列型キッチンです。

ペニンシュラ型の対面キッチンから二列型キッチンへ。対面部分にダイニングテーブルを横付けすることで、DK部分を一体化。「つくる・たべる・あらう」の動線をスムーズにしつつ、省スペースで効率のいいキッチンになるのでリビングが広く使えるように(ラクシーナ II型対面プラン /パナソニック

二列型キッチンとは、シンクとコンロを別の島に分けるレイアウトのこと。身体の向きを変えるだけで様々な作業を行えるため、移動距離が短く、効率よく家事をこなせます。

現代の生活スタイルでは、親子で、夫婦でなど複数人でキッチンを使うケースが増えています。そのような場合も、二列型ならそれぞれの作業スペースを確保しやすく、使い勝手のいいキッチンになります。

高性能コンロや便利家電、収納を上手に組み合わせれば、コンパクトでもハイパフォーマンスなキッチンにできます(ラクシーナ II型対面プラン /パナソニック

二列型キッチンはリビングを広く確保しやすいのもメリットです。その際には、高機能コンロや便利家電、効率のいい収納を上手に組み合わせるのがポイント。キッチンのコンパクト化でリビングを広く取りつつ、ハイパフォーマンスな空間づくりができます。

例えば、炊飯や自動湯沸かしの機能を備えたコンロなら、炊飯器や電気ポットなどの置き場が不要に。収納も、今どきは引き出し式が当たり前になり、これまでの開き戸のキッチンに比べて収納効率は格段にアップ。出し入れがしやすいので散らかる心配もありません。

高性能コンロや作業スペースの確保の工夫で、キッチンのコンパクト化をしながら使い勝手のいいキッチンにできます(ワイドコンロシリーズ /パナソニック

キッチンは暮らしと住まいの中心にあり、生活スタイルの変化に伴い、色や素材、使いやすいレイアウトも変化しています。

キッチンが変わると、食生活が向上したり、インテリアが素敵になって毎日が楽しくなったり、生活の質が格段に上がったという声は少なくありません。トレンドを上手に取り入れたリフォームで、わが家ならではの理想のキッチンを目指してみてください。

※掲載の情報は、2024年2月現在の情報です。

一級建築士事務所 OfficeYuu代表Yuu(尾間紫)Yuu(Yukari Oma)
一級建築士、 インテリアコーディネーターとして数多くの現場経験や相談実績をもち、住宅リフォームコンサルタントとして快適な住まいづくりのノウハウを発信している。