ライフスタイルコラム
「学びを探求しよう」第2話 3年間、すべての子どもたちが幸せに過ごせる公立中学校とは?

正解のない時代に生きていく私たちは、何を学べばいいのでしょうか。連載企画「学びを探求しよう」では、全国津々浦々で新しい学びにチャンレンジしている学校や先生にお話を伺い、子どもや他人とのコミュニケーション、また自分との向き合い方のヒントをお届けします。 第2話は、世田谷区立桜丘中学校長を10年間務めた西郷孝彦先生をインタビュー。校則や定期テストを廃止し、服装や登校時間を自由化するなど、公立中学校の常識を根底から覆すような改革は、なぜ実現されたのか。その過程で見えたものは?子どもたちに起きた変化とは?現在は講演や執筆の分野で活躍されている西郷先生に、改めて当時のお話を伺いました。

西郷 孝彦
1979年より東京都の養護学校(現:特別支援学校)をはじめ、大田区や品川区、世田谷区で数学と理科の教員・教頭を歴任。2010~2020年、世田谷区立桜丘中学校長として、生徒の発達特性に応じたインクルーシブ教育を実施。個性を伸ばす教育を推進した。
エンジニアになるつもりが、教員へ
穏やかで優しい空気感をまとっている西郷先生。名刺には肩書ではなく「大人も子どももありのままで」というフレーズが書かれており、先生の信条やお人柄が表れていると感じました。40年を超える教師生活の中で関わってきた子どもは数千人。保護者や地域の方も入れると、1万人にも達するかもしれません。そんな西郷先生ですが、もともとは人見知りでコミュニケーションが苦手だったというから驚きです。人間より機械を相手にしているほうがラクで、上智大学の理工学部を卒業した後はエンジニアになるつもりでした。
「ところがオイルショックの影響で、技術職の採用が極端に少なくなってしまったんです。どうしよう…となったときに教師という職業が浮上しました。僕、単位マニアだったんですよね。80単位取れば卒業できるところを140単位も取得していて、その中に教職課程もあって。人付き合いは得意でなくても数学と理科を教えることはできるだろうと思って、この道を選びました」
「ところがオイルショックの影響で、技術職の採用が極端に少なくなってしまったんです。どうしよう…となったときに教師という職業が浮上しました。僕、単位マニアだったんですよね。80単位取れば卒業できるところを140単位も取得していて、その中に教職課程もあって。人付き合いは得意でなくても数学と理科を教えることはできるだろうと思って、この道を選びました」

学校で過ごす時間を幸せなものにしたい。養護学校で感じた強い想い
最初の赴任先は、東京都の養護学校(現:特別支援学校)。一番にお声がけをもらった学校でした。数日後には普通学校からも打診があったため迷ったものの、お父様から「最初の学校に行きなさい。筋を通しなさい」というアドバイスがあり、赴任を決められたそうです。
「小学生を受け持ちましたが、初めはほんとうに大変でした。学校の隣には病院があって、そこから通学してくる子もいる。車椅子の子もいる。ストレッチャーに寝たきりの子もいる。うまく話せない子もいる。食事や排泄の介助ももちろん必要ですし、一体何をどうしたらいいのかわからない僕に対して、必死にコミュニケーションを取ろうとしている子どもたち。一生懸命な表情や仕草を見ていたら、いつの間にか気持ちを通わせることができるようになり、3年後には何不自由なくコミュニケーションが取れるようになっていました」
理科の授業と称しては、戦艦のプラモデルをプールで爆発させたり、凧を無線で操作して空からキャンディを降らせたり、子どもたちが出てくるゲームをプログラミングして一緒に遊んでみたり。現代の医学では治らない障がいがある子どもも多く、20歳まで生きられることが当たり前ではなかったからこそ、「学校で過ごす時間を幸せなものにしたい」と強く考えるようになります。信念の基盤がつくられた濃密な3年間でした。
「小学生を受け持ちましたが、初めはほんとうに大変でした。学校の隣には病院があって、そこから通学してくる子もいる。車椅子の子もいる。ストレッチャーに寝たきりの子もいる。うまく話せない子もいる。食事や排泄の介助ももちろん必要ですし、一体何をどうしたらいいのかわからない僕に対して、必死にコミュニケーションを取ろうとしている子どもたち。一生懸命な表情や仕草を見ていたら、いつの間にか気持ちを通わせることができるようになり、3年後には何不自由なくコミュニケーションが取れるようになっていました」
理科の授業と称しては、戦艦のプラモデルをプールで爆発させたり、凧を無線で操作して空からキャンディを降らせたり、子どもたちが出てくるゲームをプログラミングして一緒に遊んでみたり。現代の医学では治らない障がいがある子どもも多く、20歳まで生きられることが当たり前ではなかったからこそ、「学校で過ごす時間を幸せなものにしたい」と強く考えるようになります。信念の基盤がつくられた濃密な3年間でした。
世田谷区立桜丘中学校長に就任、校則も制服もなくす
40年を越える教師人生において、西郷先生が赴任したのは8校。最後が世田谷区立桜丘中学校です。赴任前、隣の松沢中学校で副校長をしていた先生の耳に、当時の桜丘中学校が荒れているという噂は聞こえていました。とはいえ以前には生徒が廊下で焚き火をしているような中学校で働いていた経験もあった西郷先生、少しも焦らなかったと言います。
「やるべきことは信頼関係を築くことだとわかっていましたから。シンプルなんですよ。教師は子どもの話を聞くだけでいい。荒れている生徒や学校はやる気のエネルギーが高いことが多いんです。逆に疲弊している生徒は荒れるパワーもないほど弱っていたりする。不満をぶつけてくれたら、それを受け止めればいいんです」
最も多かったのは、服装をはじめとする校則に対する不満でした。なぜセーターは紺で、靴下は白なのか?確かに理由を明確に説明することはできません。

「生徒たちの話を聞いて、ひとつずつ検討していったら校則がゼロになってしまって。必要な校則はひとつもなかったんです(笑)。僕は特別な教育理論を持っているわけではなく、とにかく『すべての子どもたちが3年間を幸せに過ごす』ことだけを考えました。だから、同じことでも簡単にできる子どもと、しんどい子どもがいたら、しんどい子どもの目線に合わせる。そんなふうにしていたら、校則も宿題も定期テストもチャイムもなし、登校時間も服装も髪型もスマホの持ち込みも自由…という中学校になったんです」
改革には4年の月日がかかりました。
「一気には変えられない。教師たちの固定観念を取り払って、マインドセットを変えるための時間が絶対的に必要です。そのために、まず土曜授業の日だけはスマホOKとしたり、私服登校デーを設けたり、夏休みの宿題だけをやめてみたりと、スモールステップで進めていきました。公立の学校ではトップダウンというやり方は成り立たないんですね。徐々に教師の目を慣れさせることが大切です」
また改革にあたって、保護者からの不安やクレームはほとんどなかったとのこと。世田谷区長に教育ジャーナリストの保坂展人さんが選ばれていることもあり、世田谷は保守的なエリアではなく、柔軟な保護者が多いと捉えられていたそうです。

スマホやタブレットの充電をしに、あるいはお喋りしに、校長室に集まる生徒たち
「そもそも子どもが楽しそうに学校に行って、楽しそうに帰ってきて、楽しそうに話をする。保護者はこの姿を見ているから多少のミスやトラブルがあっても、苦情にまでは発展しないんですね。楽しんでいる雰囲気が家庭にも伝わっているのだと感じました」
「やるべきことは信頼関係を築くことだとわかっていましたから。シンプルなんですよ。教師は子どもの話を聞くだけでいい。荒れている生徒や学校はやる気のエネルギーが高いことが多いんです。逆に疲弊している生徒は荒れるパワーもないほど弱っていたりする。不満をぶつけてくれたら、それを受け止めればいいんです」
最も多かったのは、服装をはじめとする校則に対する不満でした。なぜセーターは紺で、靴下は白なのか?確かに理由を明確に説明することはできません。

「生徒たちの話を聞いて、ひとつずつ検討していったら校則がゼロになってしまって。必要な校則はひとつもなかったんです(笑)。僕は特別な教育理論を持っているわけではなく、とにかく『すべての子どもたちが3年間を幸せに過ごす』ことだけを考えました。だから、同じことでも簡単にできる子どもと、しんどい子どもがいたら、しんどい子どもの目線に合わせる。そんなふうにしていたら、校則も宿題も定期テストもチャイムもなし、登校時間も服装も髪型もスマホの持ち込みも自由…という中学校になったんです」
改革には4年の月日がかかりました。
「一気には変えられない。教師たちの固定観念を取り払って、マインドセットを変えるための時間が絶対的に必要です。そのために、まず土曜授業の日だけはスマホOKとしたり、私服登校デーを設けたり、夏休みの宿題だけをやめてみたりと、スモールステップで進めていきました。公立の学校ではトップダウンというやり方は成り立たないんですね。徐々に教師の目を慣れさせることが大切です」
また改革にあたって、保護者からの不安やクレームはほとんどなかったとのこと。世田谷区長に教育ジャーナリストの保坂展人さんが選ばれていることもあり、世田谷は保守的なエリアではなく、柔軟な保護者が多いと捉えられていたそうです。

スマホやタブレットの充電をしに、あるいはお喋りしに、校長室に集まる生徒たち
「そもそも子どもが楽しそうに学校に行って、楽しそうに帰ってきて、楽しそうに話をする。保護者はこの姿を見ているから多少のミスやトラブルがあっても、苦情にまでは発展しないんですね。楽しんでいる雰囲気が家庭にも伝わっているのだと感じました」
宿題なし、定期テストなしで、学力向上
学習面にも大きなメスを入れました。直前だけ勉強して終わったら忘れてしまうという定期テストのあり方に問題を持っていたこともあり、定期テストは撤廃。小テストを重ねる方式を導入しました。
「人間にとって本能的に嫌なのは、人と比べられることだと言われています。定期テストは、もともと教師たちの授業の浸透度を測るものだったのに、いつの間にかテストの成績で生徒に順位をつけるという意味が強くなってしっています。すべての子どもには『良く生きたい』という意思が脳にプログラムされていますから、大人はそのプログラムが発動する環境をつくればいい。少なくとも教師や保護者が邪魔する存在であってはいけません」
実際に、定期テストをやめて日々の小テストに対応することで自然に勉強する習慣がつき、桜丘中学校の生徒たちの学力は向上していったそうです。最後に受け持った、今年二十歳になった卒業生から5名が東京大学に進学しています。

廊下は思い思いに過ごせる場所。授業を受けても、ゲームをしても、給食を食べてもOK
もうひとつ、西郷先生は、非認知能力にも注目をしていました。
「非認知能力とは、意欲や自信、自立や自制、協調や共感といった、ペーパーテストで測れない力を指します。非認知能力は、社会的地位や収入にも直結するという研究があるんですね。だから子どもの将来を考えると非認知能力こそ鍛えたほうがいい。非認知能力は『子どもの言うことを否定しない。能力より努力を誉める。行動を強制しない』といった関わりをすることで、主に乳幼児期に育まれる能力なのですが、そのような関わり方は中学生相手にも意味があると思ったので研究校に名乗りをあげたんです。結果的に、桜丘中学校の子どもたちは自己肯定感が高く、自ら進んで学ぶ意欲があるということ、さらには自分の感情をオープンにして、他者の感情をサポートすることもできているという数値が出ました。とても嬉しかったです」
「人間にとって本能的に嫌なのは、人と比べられることだと言われています。定期テストは、もともと教師たちの授業の浸透度を測るものだったのに、いつの間にかテストの成績で生徒に順位をつけるという意味が強くなってしっています。すべての子どもには『良く生きたい』という意思が脳にプログラムされていますから、大人はそのプログラムが発動する環境をつくればいい。少なくとも教師や保護者が邪魔する存在であってはいけません」
実際に、定期テストをやめて日々の小テストに対応することで自然に勉強する習慣がつき、桜丘中学校の生徒たちの学力は向上していったそうです。最後に受け持った、今年二十歳になった卒業生から5名が東京大学に進学しています。

廊下は思い思いに過ごせる場所。授業を受けても、ゲームをしても、給食を食べてもOK
もうひとつ、西郷先生は、非認知能力にも注目をしていました。
「非認知能力とは、意欲や自信、自立や自制、協調や共感といった、ペーパーテストで測れない力を指します。非認知能力は、社会的地位や収入にも直結するという研究があるんですね。だから子どもの将来を考えると非認知能力こそ鍛えたほうがいい。非認知能力は『子どもの言うことを否定しない。能力より努力を誉める。行動を強制しない』といった関わりをすることで、主に乳幼児期に育まれる能力なのですが、そのような関わり方は中学生相手にも意味があると思ったので研究校に名乗りをあげたんです。結果的に、桜丘中学校の子どもたちは自己肯定感が高く、自ら進んで学ぶ意欲があるということ、さらには自分の感情をオープンにして、他者の感情をサポートすることもできているという数値が出ました。とても嬉しかったです」
教師は自分のコアを磨いてほしい
一方で教師にも、素の自分であることを求めました。教師と生徒、大人と子ども、性別などは関係なく、ひとりの人間として子どもたちに接してほしいと何度でも伝えたと言います。
「自分のコアとなる心を育ててほしかった。ですから、部活は週10時間まで、水曜日はお休みにして、空いた時間で先生には、本を読んだり映画を見たり、美術館に行ったり、恋愛したりと、心を豊かにする経験を積んでもらう。その人のコアの魅力が光っていれば、自然と生徒と信頼関係が築けるから。実際のところ、お世辞にも授業運びが得意とは言えない家庭科の先生がいたんですよ。でも人間が魅力的だから生徒たちはその先生が大好きで、みんなものすごく一生懸命に家庭科を勉強してた(笑)。僕も大好きな先生でした」

ちなみに桜丘中では生徒は授業中に寝るのも自由なのですが、正直教師としては嬉しいことではありません。起きていてもらうためには授業を面白くする工夫をするしかない。毎日教室を回ることを日課にしていた西郷先生、授業中すやすや寝ている生徒を見て(可愛いなぁ)などと思っていたものの、教師たちの頑張りのおかげで、しまいには寝る子の姿は見られなくなってしまったと笑いました。
「自分のコアとなる心を育ててほしかった。ですから、部活は週10時間まで、水曜日はお休みにして、空いた時間で先生には、本を読んだり映画を見たり、美術館に行ったり、恋愛したりと、心を豊かにする経験を積んでもらう。その人のコアの魅力が光っていれば、自然と生徒と信頼関係が築けるから。実際のところ、お世辞にも授業運びが得意とは言えない家庭科の先生がいたんですよ。でも人間が魅力的だから生徒たちはその先生が大好きで、みんなものすごく一生懸命に家庭科を勉強してた(笑)。僕も大好きな先生でした」

ちなみに桜丘中では生徒は授業中に寝るのも自由なのですが、正直教師としては嬉しいことではありません。起きていてもらうためには授業を面白くする工夫をするしかない。毎日教室を回ることを日課にしていた西郷先生、授業中すやすや寝ている生徒を見て(可愛いなぁ)などと思っていたものの、教師たちの頑張りのおかげで、しまいには寝る子の姿は見られなくなってしまったと笑いました。
学校は「保育」をする場所
現在の教育が抱えている問題をお伺いすると、新自由主義とのお答えが返ってきました。
「例えば『結果を出せるのであれば』遅刻してもいいというような能力重視の考え方もそうです。僕は能力とは関係なく、結果を出そうが出すまいが、遅刻はしていいと思ってるんですね。それから自己責任。ゲームばかりして受験に失敗した生徒を『あなたが勉強しなかったんだから、自業自得』というように考えることは珍しくない。でも、誰もが受験のために塾に行けたり、親がフォローしてくれたり、公立と私立のどちらを選べる境遇であるわけではない。人間を能力で判断していく教育の在り方には、強い危機感を覚えています」
では、学校はどんな方針を持って運営していけば良いのでしょうか?
ここで「保育」という思いがけない言葉が出てきます。

「学校は人が集まるからこそできることを楽しむ場所だと思います。友達と話す、遊ぶ、ご飯を食べる、部活をする。愛情を持って保育されるような環境で、子どもたちが人間関係を学んでいくことが学校の本質です。いくつも有名な保育園を視察に行ったのですが、やはり中学校に応用できるヒントが確実に詰まっていました。知識を詰め込む勉強をするだけなら、一人で家でもできますよね。近年はチームビルディングにはじまり、メンバーで協力して、調べて、作って…という体験学習を取り入れるところも増えてきましたが、良い試みだと思います」
「例えば『結果を出せるのであれば』遅刻してもいいというような能力重視の考え方もそうです。僕は能力とは関係なく、結果を出そうが出すまいが、遅刻はしていいと思ってるんですね。それから自己責任。ゲームばかりして受験に失敗した生徒を『あなたが勉強しなかったんだから、自業自得』というように考えることは珍しくない。でも、誰もが受験のために塾に行けたり、親がフォローしてくれたり、公立と私立のどちらを選べる境遇であるわけではない。人間を能力で判断していく教育の在り方には、強い危機感を覚えています」
では、学校はどんな方針を持って運営していけば良いのでしょうか?
ここで「保育」という思いがけない言葉が出てきます。

「学校は人が集まるからこそできることを楽しむ場所だと思います。友達と話す、遊ぶ、ご飯を食べる、部活をする。愛情を持って保育されるような環境で、子どもたちが人間関係を学んでいくことが学校の本質です。いくつも有名な保育園を視察に行ったのですが、やはり中学校に応用できるヒントが確実に詰まっていました。知識を詰め込む勉強をするだけなら、一人で家でもできますよね。近年はチームビルディングにはじまり、メンバーで協力して、調べて、作って…という体験学習を取り入れるところも増えてきましたが、良い試みだと思います」
子どもが主役であることは、永遠に変わらない
画期的な改革により多数のメディアに取り上げられた桜丘中学校。「公立でもこんな中学校があるんだ!」という驚きとともに、越境してくる生徒が増え、各学年3クラスだったところが、6クラスになりました。どんなに素晴らしい私立の学校があっても、誰もが通えるわけではありません。だからこそ誰でもが通える公立中を選ばれるものにしたかった。全員が3年間幸せに過ごせる公立を作りたかった。熱い想いが西郷先生を突き動かし続けました。

「私立は建学の精神が定められており、基本的にスタッフの異動はなく校風が受け継がれていきます。それを支持する教師や生徒が集まってくる。対して公立は『この指とまれ』ができません。校長を退任して5年が経ちましたが、当時の生徒は全員卒業していますし、教師の多くも異動しています。定期テストも復活したと聞いていますし、当然さまざまな変化も起きているでしょう。ただ、主役が子どもであることだけは永遠に変わりません。自分たちの力で学校は変えられる。社会も未来も変えられる。子どもたちには自分で考えて行動できる人間になってほしいのです」

西郷先生の言葉には、誰もが自分らしく羽ばたくことを願う想いが詰まっています。
子どもの話をちゃんと聞くこと。誰かと比べずに個性を活かすこと。
数字では測れない価値があること。自分のコアを磨き続けること。
これらのメッセージは、教師という職業に限らず、あらゆる大人に響くものではないでしょうか。
西郷先生は誰もが幸せに過ごせる学校の先の、誰もが幸せに過ごせる社会のために、
いまもなお卒業生のアフターケアに努め、全国を講演で飛び回り、執筆活動に尽力しています。
その挑戦は、この瞬間も続いています。

「私立は建学の精神が定められており、基本的にスタッフの異動はなく校風が受け継がれていきます。それを支持する教師や生徒が集まってくる。対して公立は『この指とまれ』ができません。校長を退任して5年が経ちましたが、当時の生徒は全員卒業していますし、教師の多くも異動しています。定期テストも復活したと聞いていますし、当然さまざまな変化も起きているでしょう。ただ、主役が子どもであることだけは永遠に変わりません。自分たちの力で学校は変えられる。社会も未来も変えられる。子どもたちには自分で考えて行動できる人間になってほしいのです」

西郷先生の言葉には、誰もが自分らしく羽ばたくことを願う想いが詰まっています。
子どもの話をちゃんと聞くこと。誰かと比べずに個性を活かすこと。
数字では測れない価値があること。自分のコアを磨き続けること。
これらのメッセージは、教師という職業に限らず、あらゆる大人に響くものではないでしょうか。
西郷先生は誰もが幸せに過ごせる学校の先の、誰もが幸せに過ごせる社会のために、
いまもなお卒業生のアフターケアに努め、全国を講演で飛び回り、執筆活動に尽力しています。
その挑戦は、この瞬間も続いています。