暮らしのTIPS生涯非課税限度枠が1,800万円に拡大!
2024年1月から始まる!見逃せない新NISAのメリットは?
June 27, 2023

2024年1月から始まる新NISAは、生涯非課税保有限度枠が1,800万円に拡大されることで話題となっています。今回は、旧NISAとの変更点やメリット、注意点について解説します。

旧と新でどこが変わったの?NISA変更点まとめ

旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)と新NISAの変更点を以下の表にまとめました。なお、旧NISAの一般NISAの非課税保有限度額は、5年間投資した場合の上限額のため、2023年から始めた場合の上限は120万円です(つみたてNISAに関しても同様)。

旧NISA 新NISA
一般NISA つみたてNISA 成長投資枠 つみたて投資枠
制度の併用 不可 可能
非課税保有期間 5年 20年 無期限
年間投資可能額 120万円 40万円 240万円 120万円
非課税保有限度額 600万円 800万円 1,800万円(※1)
投資対象 上場株式
投資信託等
投資信託
(※2)
上場株式
投資信託等
(※3)
投資信託
(※2)

(※1)成長投資枠は1,200万円まで利用可能。売却して非課税保有限度枠に空きが出た場合は翌年以降に復活する。
(※2)つみたてNISA・つみたて投資枠の対象になる投資信託は金融庁の指定した商品に限る。
(※3)①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外。

効率的な資産形成が期待できる新NISAの主なメリット

旧NISAと新NISAの変更点を踏まえたうえで新NISAのメリットを4つ紹介します。

POINT1:5年・20年だった非課税保有期間がなんと「無期限」に!
非課税保有期間について、旧NISAの一般NISAでは5年、つみたてNISAで20年でした。新NISAは、非課税保有期間が無期限です。成長投資枠・つみたて投資枠に限らず、保有期間に縛られない資産形成ができます。

POINT2:年間投資可能額が2〜3倍に拡大!効率的な資産形成のチャンス!
旧NISAでは、以下のどちらかを選択する必要がありました。先にも説明しましたが、旧NISAの一般NISAの非課税保有限度額は、5年間投資した場合の上限額のため、2023年から始めた場合の上限は120万円です(つみたてNISAに関しても同様)。

  • 【旧NISA】
    一般NISA:年間投資可能額が120万円、非課税保有限度額が600万円
    つみたてNISA:年間投資可能額が40万円、非課税保有限度額が800万円

しかし新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の2種類があり併用が可能です。一般NISA・つみたてNISAと比較して、どちらも投資可能額・非課税保有限度額が拡大しています。

  • 【新NISA】
    成長投資枠:年間投資可能額は240万円(一般NISAの2倍)、非課税保有限度額は1,200万円
    つみたて投資枠:年間投資可能額が120万円(つみたてNISAの3倍)、非課税保有限度額は1,800万円

なお、上記の非課税保有限度額1,800万円のうち、1,200万円までを成長投資枠に利用可能です。例えば、成長可能投資枠を最大限の1,200万円まで利用した際、つみたて投資枠は600万円です。非課税になる投資額が増えるため、より効率的な資産形成が期待できるでしょう。

POINT3:購入した株を売却すれば投資枠が復活!
新NISAでは、非課税保有限度額として生涯投資枠が設定されています。旧NISAの非課税保有限度額とは異なり、生涯投資枠は売却すれば翌年以降に復活します。例えば成長投資枠で240万円の上場株式を購入した場合、残りの生涯投資枠は1,560万円(1,800万円-240万円)です。その後、購入価格が120万円分の上場株式を売却したと仮定します。

この場合、翌年度には売却した120万円分の生涯投資枠が復活し、生涯投資枠は1,680万円(1,560万円+120万円)となり、売却した投資枠の再利用が可能です。

POINT4:旧NISA(一般・つみたて)を利用している方は新たな口座開設が不要!
旧NISA(一般・つみたて)を利用している者については、新制度開始時に新しいNISA口座(つみたて投資枠及び成長投資枠)が自動的に設定されるなど、新制度の手続が複雑とならないよう配慮がなされる予定です。

新NISAの主な注意点を理解して、効果的な資産運用を

新NISAには、以下の4つの注意点があります。注意点を踏まえて制度を正しく理解したうえで有効活用しましょう。

●旧NISAからのロールオーバーはできない
ロールオーバーは、NISAの非課税期間終了後に上場株式・投資信託などの金融商品を翌年の非課税投資枠に移管することです。新NISAには、ロールオーバー自体がないため、旧NISAから新NISAへのロールオーバーはできません。なお2023年までに旧NISAで投資した金融商品は、新NISAとは別枠で非課税期間の終了まで運用できます。

●年間投資可能額の再利用はできない
生涯投資枠の復活は翌年以降となるため、年間投資可能額の再利用はできません。成長投資枠では、年間240万円の投資可能額がありますが、例えば150万円分の株式を購入して同じ年に売却しても当年度の投資可能額は90万円(240万円-150万円)となります。

●18歳未満は利用できない
現在のNISAでは、子どもの資産形成のための「ジュニアNISA」というものがあり、未成年でも口座開設が可能でした。しかし、2023年末で終了となります。新NISAでは、18歳以上の成年に限り、口座開設が可能です。子どものためにNISAを始めようと考えていた方は注意しましょう。

●NISA口座は1人1つまで
つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできません。一つの金融機関でご利用いただくこととなります。そのため、どの金融機関がご自身に合っているのか慎重に検討しましょう。
※金融機関の変更は可能です。

始め時ともいえる、さらに利用しやすくなる新NISA。
最大限活用するために、資産形成や制度への理解が必要に!

新NISAは、制度の恒久化や非課税保有期間の無期限化により、さらに利用しやすくなったといえます。一方で口座選びや銘柄選び、売却タイミングなど自分で判断しなければならないことも多い傾向です。新NISAをはじめようと考えるなら、事前にしっかり勉強する、あるいは専門家に相談しながら、メリットを最大限、享受できるようにしましょう。

※掲載の情報は、2023年6月時点の情報です。

大谷 惇途Makoto Otani
慶應義塾大学卒業。投資・ローン・税金などの金融分野を中心に5年以上の記事執筆経験がある金融ライター、現在はフリーランスで活動中。学生時代から株式投資を中心にさまざまな投資を行う。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。