暮らしのTIPS 意味を知って楽しむ7つのお正月飾り December 10, 2024

日本のお正月飾りは、家族の幸せを願う伝統的な文化。門松、しめ飾り、鏡餅といった基本の飾り物に加え、縁起がいいとされるさまざまなアイテムがあります。今回は、新年に飾りたい縁起物7選をご紹介、それぞれの意味を知り、2025年のお正月を一層華やかに、そして縁起よく迎えましょう。

門松・松飾りは、長寿を象徴する「松の木」がポイント

門松・松飾りは松であることに意味があります

お正月が近付くと、エントランスや玄関ドアに飾られるのが門松・松飾りです。これは、家族の安全や繁栄を願い、新年に歳神様をお迎えする目印になるものとされています。

門に松を飾る文化は平安時代からあり、「小松取り」と呼ばれていました。常緑樹の松は長寿を象徴する木とされ、神が宿っていると信じられてきたからです。それ故、新年の歳神様の来訪時の目印とされるようになり、門松・松飾りになりました。

つまり門に飾るのは、「松の木」であることが大事なポイント。青々とした松を飾って、家族の健康と長寿を願いましょう。

しめ飾りは、神聖な結界を作る「しめ縄」に注目を

しめ飾りにはしめ縄が使われているのがポイントです

年末になるとデパートやスーパーなどで一斉に売り出されるのが、玄関ドアなどに飾るしめ飾り。美しい装飾が取り付けられ、モダンな住宅にも似合うよう、おしゃれなデザインのものが増えています。

しめ飾りは神聖な結界を示し、歳神様がもたらしてくれた幸運を逃さないようにするものと信じられてきました。古事記にある「天岩戸神話」で、神々が連れ出した天照大神が再び岩戸に隠れないよう、「しめ縄」で封じたことが起源とされています。

つまり、しめ飾りには「しめ縄」が重要な要素になるということ。加えて、スサノオ伝説によると「輪状」であることに意味があるという説もあります。しめ飾りを選ぶ際には、ぜひしめ縄の形状に注目をしてみましょう。

鏡餅は、落ち着いた場所にさりげなく飾って

鏡餅は依り代と考えられてきたもの、落ち着いた場所に飾りましょう

鏡餅は、歳神様の依代の意味があるとされていますが、もともとはお正月の神饌(神様への供物)としてお米の代わりに供えられてきました。

鏡餅の風習は平安時代からあり、神棚に飾られるのが一般的でしたが、江戸時代以降は床の間に飾られることが増えたようです。しかし現代の住宅では、床の間が無いことも多く、どこに飾るのがいいか悩む方もいらっしゃることでしょう。

鏡餅は神様が宿る場所と考えると、食卓やキッチンなど騒がしい場所はあまり相応しくないと言えます。なるべく家の奥のほう、できれば人の息が直接かかりにくい、静かな場所を探すといいでしょう。

今は、可愛らしいデザインの小さな鏡餅がたくさんあります。リビングボードや飾り棚など、落ち着いた場所にさりげなく飾ってみてはいかがでしょう。

餅花は、紅白の小さなお餅がキュートなお正月飾り

餅花は紅白のかわいいお正月飾り。東日本では繭玉(まゆだま)を飾ることも多く、どちらも豊穣を願って飾るものです

餅花をご存じでしょうか。紅白のお餅を小さく丸めて細い枝や竹にさし、頭を垂れるように飾るもので、これもお正月の伝統的な飾り物のひとつです。

江戸時代に始まったとされる餅花は、豊かさや実りを象徴し、豊作の願いが込められています。

紅白の小さなお餅が連なる様は見た目も可愛らしく、お正月らしい華やかなお飾りに。既製品が販売されていますので、そういったものを利用すれば手軽に楽しめます。

生花を飾って、華やかに縁起よく1年をスタート

お正月に生花を飾ると、すがすがしく改まった気持ちになります

お正月には、1年の始まりをお祝いし、また歳神様をお迎えするために、生花を飾る習慣があります。

花を飾る風習は、飛鳥時代にはすでに存在し、室町時代には既に現在の「生け花」の基礎が成立したとされています。

現代の暮らしでは、毎日生花を楽しむのはなかなか難しいことですが、お正月は1年の中でも特別な時。生花を飾って、華やかに、そして縁起よく1年をスタートさせるのはいかがでしょうか。

お正月らしさを演出するには、縁起のいい松や、赤い実をつける南天や千両、季節感のある梅の花などを取り入れるのがおすすめ。おめでたさを感じるデザインで、お正月の生花を楽しんでみてください。

羽子板は、災いをはねのける縁起物

羽子板もお正月の縁起物のひとつです

羽根つきでおなじみの羽子板も、縁起のいいお正月飾りのひとつです。羽根つきの起源は、古代中国の魔除けの「胡鬼板(こぎいた)」にさかのぼり、平安時代には宮中で新年を寿ぐ遊びとして、女御が羽根つきを楽しんでいたとされています。

お正月の縁起物として羽子板が用いられるようになったのは、江戸時代の元禄の頃とのこと。「災いをはねのける」という縁起担ぎで、各地で正月飾りとして定着していきました。

羽子板は飾り物として美しいのはもちろん、遊び道具としても楽しいもの。災いをはねのける願いを込めて、お正月飾りのひとつとして取り入れると、新年を華やかに彩ることができます。

破魔矢は、1年を通して厄除けとするもの

破魔矢は魔を破るという意味を持っています

破魔矢とは、その名の通り「魔を破る」という意味を持つ縁起物。神社やお寺で入手することができ、無病息災や家族円満を願って飾られます。

破魔矢の起源は、日本書記に記された「射礼(じゃらい)」という年占いにさかのぼります。この儀式はお正月に行われ、その年の吉凶を占うものでした。

その後、江戸時代以降に子供の成長を願う縁起物として各地に広まり、破魔弓と破魔矢をセットで贈る風習も生まれました。

上手に飾るコツは、倒れないようにしっかりと安定させておくこと。また1年を通して厄除けとするものなので、お正月を過ぎても飾り続けることができます。ただし1年経ったら、神社やお寺に返納するのが一般的です。

お正月飾りを飾る日、片付ける日

お正月飾りは家を清めた後に飾るのが原則。すす払いの日より後に飾りましょう

お正月を華やかに彩り、幸せを願うこれらのお正月飾り。飾る日は、本来は大掃除をして住まいを清めた後に飾るものです。日本古来より、大掃除は12月13日の「すす払い」に始めるものとされていますので、それ以降に飾るのがいいでしょう。

また年末の12月29日と31日に飾るのは縁起がよくないとされています。できれば12月の28日までに余裕をもって飾るといいでしょう。

お正月飾りを片付ける日は、門松、松飾り、しめ飾りは「松の内」まで飾っておきます。松の内は地域により異なり、1月7日と1月15日の地域があります。

鏡餅は鏡開きである1月11日に、餅花は小正月の1月15日に片付けて、食べるのが一般的ですが、これも地域により少しずつ異なります。羽子板や破魔矢は、1年中飾ることができ、生花もインテリアとして楽しみましょう。

それぞれの意味を知り、日本文化を楽しみつつ、縁起よく楽しくお正月を迎えましょう。

監修:村上瑞祥(歴史学者・東洋古代思想史研究家)
※掲載の情報は、2024年12月現在の情報です。

一級建築士事務所 OfficeYuu代表Yuu(尾間紫)Yuu(Yukari Oma)
一級建築士、 インテリアコーディネーターとして数多くの現場経験や相談実績をもち、住宅リフォームコンサルタントとして快適な住まいづくりのノウハウを発信している。