暮らしのTIPS和室のお手入れ 美しい畳や襖December 12, 2023

和室を上手に使いこなすために、お手入れ方法と、おしゃれに変身させるアイデアをご紹介しましょう。和室には定期的なメンテナンスが必要となり、その際に畳や襖、障子などにひと工夫すると、和モダンや北欧×和のジャパンディなど、新しい和空間に生まれ変わります。

和室は便利なマルチルーム

床材としての畳は汎用性が高く、さまざまな用途に使えるマルチルームになります

暮らしの洋風化と共に和室は減りつつありますが、注文住宅では根強い人気があります。というのも、床材としての畳は汎用性が高く、フローリングには無い使い方ができるから。

畳はあたりが柔らかく、音が響きにくいのが特徴です。床に直接座ることができるので、取り込んだ洗濯物を広げて畳んだり、小さな子供たちの勉強スペースや遊び場にしたり。

もちろん、お昼寝や趣味を楽しむゆとりの空間として、親戚や友人たちが遊びに来た際のゲストルームとして、また風邪をひいた時に他の家族にうつさないようそこで寝起きをするといった使い方もできるなど、和室は1部屋で何通りにも使えるマルチルームなのです。

これも畳という床材が持つポテンシャルがなせる業。和室は日本人にとって安らぎを感じさせるぜいたくな空間です。正しくお手入れをして使いこなせば、暮らしは一層便利に豊かになります。

和室の普段のお手入れ方法

畳の掃除は目に沿って。掃除機をかける際にもヘッドの向きに注意をするのが表面を傷めないコツです。

まずは和室の普段のお手入れ方法からご紹介しましょう。

伝統的な和室は、床はイグサの畳、壁は塗り壁や和紙など、白木の柱が見えていて、襖や障子には紙が貼られているなど、自然素材を中心に構成されています。

現代的な和室は、床は畳敷きですが、素材はイグサの代わりに和紙や化学繊維が使われていたり、壁はビニールクロス張りになっていたり。柱も見えないように壁の中にあるなど洋室に近い作りで、お手入れもラクにできるようになっています。

どちらにしても、大切なことは部屋を閉め切りにしないこと。荷物があふれて納戸化していると、湿気がこもり、カビが生えやすくなります。

そろそろ大掃除の時期ですから、これを機会に和室にある物を見なおして不用品は処分。風通しよく、毎日の換気を心掛けると共に、部屋として使いこなすようにすると、カビを防いで快適な空間になります。

畳の掃除は、イグサ、和紙共に、固く絞った雑巾で目に沿ってていねいに拭きましょう。湿気を残さないよう、最後に乾拭きをするのも忘れずに。障子はハタキで優しくホコリを落として。

伝統的な和室の柱や枠など白木の部分は乾拭きが基本です。汚れが気になる部分は固く絞った雑巾で拭きとりを。築年数が経ち全体的に黒ずみが気になるようになってきたら、専門の業者による「あく洗い」と呼ばれる染み抜きと漂白をすると、美しく蘇らせることができます。

壁の掃除は、表面が固くつるつるとした漆喰壁などは、汚れが気になる部分を消しゴムやメラミンスポンジで優しくこすって落としましょう。ただし、ざらざらとした砂壁はこするのはNG。ビニールクロスの壁はバケツに住居用洗剤や中性洗剤を垂らして薄め、雑巾を浸し固く絞ってふき取ります。

どの場合も目立たない場所で試してからにすることをお勧めします。また注意したいのが重曹を使った掃除方法です。畳のイグサや白木は重曹を使うと変色をしますので使わないようにしましょう。

畳や障子のメンテナンスの頻度

畳の表面を覆っているゴザは裏返して使うことができます。その際には畳縁を新しくします。

畳が変色してきたり、表面が擦り切れてきたりしていたら、そろそろメンテナンスの時期です。

畳のメンテナンス方法は、「裏返し」、「表替え」、「新床」への交換の3種類。畳は、「畳床」と呼ばれる芯になる部分に、イグサや和紙などで編んだ「畳表」をかぶせた構造になっています。

この畳表が汚れたり傷んできたりしたら、裏返して再利用をするのが裏返し。天然のイグサの場合は3年~5年おきに行います。7~8年経ったら今度は畳表を新しく交換する表替えをします。和紙を素材にした畳表は寿命が長く、10年ほどで裏返しをして再利用をします。

芯になっている畳床の標準的な寿命は20年程度です。状態がよければもっと長くもつこともあり、逆に湿気が多いと早くに傷んでしまうことも。畳の上にカーペットなどを敷いていると傷みやすいので注意を。踏んだ時にへこみを感じるようになったら畳床ごと交換を検討しましょう。

障子は、昔は年末ごとに紙を張り替えたものですが、特に破れや変色などが無ければそのままでもいいでしょう。樹脂層を貼り合わせた破れにくい丈夫な障子紙もあり、そういったタイプに張り替えておくと長持ちします。

お手入れがラクで美しい畳に

表面の水洗いができ清潔を保てる樹脂畳。デザインやカラーの豊富さも魅力です(tsudoi /オリザ

そろそろ畳の交換の時期に来ているなら、丈夫でデザイン性の高い畳に交換すると、和室の雰囲気が一新し、先々のメンテナンスが楽になります。

例えば、こちらはポリプロピレン製の樹脂畳。高耐久で寿命が長く、水に強いので洗剤を使って水洗いもできます。豊富なデザインとカラーが揃っているので、和室のイメージが一新します。

畳の魅力は、ごろんと横になるのも気持ちよく、リラックスした時間が過ごせること。清潔で美しい畳で、和室ならではの暮らしを楽しんでいただければと思います。

障子を外して明るく軽やかに

障子を外してロールスクリーンで軽やかに(ロールスクリーン「ラルクシールド」パーユ /タチカワブラインド

和室のイメージチェンジをしたい場合は、障子を外すだけでも明るく軽やかな印象に変わります。

障子は引き違いになっているため、開けても窓の半分は閉まった状態です。和紙を通して差し込む光は柔らかく拡散され、和室ならではの落ち着きを感じさせてくれますが、それが薄暗さを感じる原因に。

そこで障子を外して、そこに和空間に似合うスクリーンやシェードを取り付ければ、部屋全体が明るくなり、またモダンな印象へと変わります。

和の色を選んでモダンな印象に(プリーツスクリーン「ペルレ」ハナカゴ /タチカワブラインド

スクリーンの取り付けはとても簡単。障子を外した後の枠にそのままビスで取り付ければOKです。スクリーンは枠のサイズをしっかり測ってオーダーを。自信がない場合はインテリアショップなど専門業者に依頼をすると安心です。

和室に似合うのは自然素材をイメージさせるデザインや和の色合いのもの。ロールスクリーンやプリーツスクリーン、ハニカムシェードなど、窓装飾品にはさまざまな種類があり、それぞれに日差しの差し込み具合や、目隠しの程度が異なります。わが家の和室の状況に合わせて選びましょう。

襖を張り替えて新しい和空間に

和モダンに決めるなら深い和のカラーを選ぶとメリハリが効いた空間に。紙の室礼は空間に安らぎを与えてくれます(襖紙「凛」Sabi /ルノン

そろそろ襖紙の張り替え時期なら、襖紙のデザインにこだわってインテリアのリフレッシュを楽しむのはいかがでしょう。

現代的な和の雰囲気を持つ「和モダン」なインテリアが人気です。この和モダンを一層盛り上げてくれるのが襖のデザイン。

墨色や金色、朱色などはっきりとした和のカラーを選べば、メリハリの効いたおしゃれな和空間に変わります。

話題のジャパンディを目指すならグレイッシュカラーや優しいアースカラーを選んで(襖紙「凛」Arare /ルノン

今注目のジャパンディスタイルにしたいなら、グレージュやくすみピンクなどのハーフカラーを選んで、ナチュラルモダンな雰囲気を目指すといいでしょう。

ジャパンディとは日本と北欧をミックスした最新のインテリアスタイルのこと。日本と北欧のインテリアは共通点が多く、共に自然素材を使った温もりのある空間づくりをするため、馴染みやすいのです。

床の間にモダンデザインの花器を飾ったり、壁に北欧インテリアの定番のファブリックパネルをコーディネートしたり。白木の北欧家具も和室に良く似合い、いつもの和室が、新しさを感じるおしゃれな空間へと変わります。

和室は暮らしを豊かにしてくれるぜいたくなスペースです。適切なお手入れとメンテナンス、そしてインテリアのリフレッシュで、毎日を更に心地よくお過ごしください。

※掲載の情報は、2023年12月現在の情報です。

一級建築士事務所 OfficeYuu代表Yuu(尾間紫)Yuu(Yukari Oma)
一級建築士、 インテリアコーディネーターとして数多くの現場経験や相談実績をもち、住宅リフォームコンサルタントとして快適な住まいづくりのノウハウを発信している。