家に帰るとほっとする、わが家で過ごす時間が一番心地いい。毎日の暮らしの中でそんな幸せを感じることができる、「癒しの住まい」にするための3つのヒントをご紹介します。
人は本能で自然を求め、自然と触れ合うことで健康や幸せを実感します。人工物に囲まれた現代社会では、街づくりや公共施設、オフィス、住宅の設計においても自然を取り入れることが欠かせません。
そんな自然の要素を組み込んだ空間構成を「バイオフィリックデザイン」と呼び、幸福感を向上させる手法として広く取り入れられています。
その中で重要な役割を果たすのが「緑視率」です。緑視率とは人の目に見える緑の割合のこと。緑視率を高めることは、心理的なうるおい感や安らぎ感を向上させる効果があります。
都市に森を作るのは難しいことですが、街中で過ごしていても安らぎを感じられるよう、植え込みや壁面緑化などの工夫で緑視率を上げる取り組みが行われています。
インテリアにも植物を取り入れて緑視率を上げれば、癒しを感じさせる心豊かな空間づくりができます。室内に置き場が見つからない時は、「ハンギンググリーン」で取り入れるアイデアがあります。
ハンギンググリーンとは観葉植物を吊り下げて飾るスタイルのこと。壁や扉などにフックを取り付けたり、カーテンレールを活用したり。視界に入りやすい高さに吊り下げれば、ひとつでも大きな癒し効果を発揮します。
窓から美しい自然が見えるなら、長く過ごす場所から景色が見えやすいよう模様替えをするのもいいでしょう。
普段の生活の中で自然が目に入りやすいレイアウトを意識すると、毎日を心地よく過ごすことができます。
植物のお手入れに自信がない時は、サボテンなどの多肉植物はいかがでしょう。水やりの手間が少なくて済み、丈夫なので比較的ラクに育てることができます。
肌に触れるソファーカバーやラグ、カーテンなどに、自然素材の綿や麻、シルクを選ぶのも、癒しを感じるポイントです。吸湿性に優れた自然素材は肌触りが気持ちよく、触れるたびに幸せな気持ちになることでしょう。
日本の住宅照明で多いのは、天井に白く明るい光を放つシーリングライトを取り付けるスタイル。
しかしこういった照明プランは、オフィスや学校のように部屋全体を均一に明るくするにはいいのですが、緊張感が生まれやすく、リラックスをする部屋には向いていません。
くつろぎ感のある部屋づくりをするコツは「間接照明」を使いこなすこと。間接照明とは、光源で部屋を明るくするのではなく、壁や床、天井に光を当て、その反射する光で明るくする手法です。
間接照明は空間の中に優しい明るさと影になる暗い部分を作り出し、その柔らかいニュアンスが落ち着きと安らぎを感じさせてくれます。
間接照明はスタンド型ライトを使えば手軽に取り入れることができます。おすすめは床面を照らす背の低いフロアライトです。空間の重心が下がることで安定感が生まれ、リラックス効果が高まります。
光の色も大切です。リラックス空間には暖色系を選んで。文字を読む時には白い明るい光が必要になるので、スタンドやスポット照明で手元をしっかり明るくしましょう。LED電球には、スイッチの切り替えで光の色を変えることができるものもあります。
家で過ごす時間をより豊かにしてくれるのが、自分だけの領域、プライベートスペースの確保です。
家族と一緒に過ごす時間も幸せですが、ひとりで考えごとをしたり、趣味に没頭したり。ひとりの時間が充実してこそ、一緒の時間が更に幸せに感じられるようになることでしょう。
自宅内にプライベートスペースを作るポイントは、ゾーニングにあります。ゾーニングとは用途に合わせて空間を区切ること。
間仕切り壁を作らなくても、観葉植物やフロアスタンドで空間をさりげなく仕切り、そこに1人掛けのリラックスチェアを置けば、プライベート感のある自分だけのスペースを作り出すことができます。
室内にスペースが見つからない場合は、庭やベランダを活用する手も。
ゆったりと座れる屋外用の椅子を置いて、天気のいい日にのんびりとくつろいだり、星空の下でお酒を楽しんだり。ひとりの時間をゆっくりと楽しめるアウトドアリビングになります。
癒しの住まいにする3つのヒント、緑視率、間接照明、そしてプライベート領域の工夫で、毎日を一層心地よくお過ごしいただければと思います。
※バルコニーの利用については、必ずお住まいのマンションの管理規約をご確認ください。
※掲載の情報は、2023年7月現在の情報です。