コロナ禍で注目されたのがトイレのふたです。実はふたには様々な役割があり、その重要性が広まったことで新たな機能も生まれました。今回は、毎日の暮らしの中でトイレのふたを閉めるメリットや、公共用のトイレにふたが無いことが多い理由、またふたの閉め忘れを防いでくれる便利なトイレもご紹介しましょう。
皆さんはトイレのふたをいつも閉めていますか?
コロナ禍をきっかけに、がぜん注目を浴びたのがトイレのふた。
実はトイレのふたには様々な役割があります。何のためについているのか?日本のトイレ市場シェア1位の水まわり住宅総合機器メーカー、TOTO株式会社に聞いてみました。
「トイレのふたの主な役割は3つあります。
節電に関しては、温水洗浄便座や暖房便座といった電気を使う製品での話です。」とのこと。
確かに便器の中に物を落としてしまうと拾うのが大変です。万が一、流してしまえば詰まりの原因になることも。実際にマンションのトイレの排水管に子どものおもちゃが詰まり、おおごとになってしまったケースもあります。こういったトラブルも、ふたが閉まっていれば防ぎやすくなることでしょう。
最新のトイレには人が座っていない時は自然に温度を下げたり、タイマーで温水とヒーターを切ったりなどの「節電モード」が搭載されている機種が増えています。加えて、ふたをしめることで保温性が高まり、更なる節電効果が期待できます。
実はトイレのふたを閉めることは、経済産業省の「家庭の中でできる、効果的な省エネ・節電の方法」のひとつに挙げられています。電気代の高騰が気になる昨今、環境負荷を減らすためにも閉め忘れがないようにしておきたいものですね。
このようにトイレのふたには様々な役割がありますが、コロナ禍をきっかけに人々の衛生意識が高まったことで、また新たな役割が生まれました。それが洗浄時の飛散防止です。
トイレを流している時には思うよりも飛沫が舞い上がっているもの。そこで、ふたを閉めてから流せば感染予防に役立つと話題になりました。
また水飛散を防げば、壁や床への汚れの付着が減るので掃除をラクにしてくれたり、臭いを軽減してくれたり。トイレ内の環境を清潔に保ちやすくなります。
これまであまり意識することがなかったトイレのふたですが、閉めておくことで安全、節電、清潔などたくさんのメリットがあるのです。
家庭用のトイレにはほとんどふたがついています。しかし駅やショッピングセンターなど公共のトイレには無いことも。これはなぜでしょうか?
TOTOによると「公共のトイレでは直接手でふたに触れることを嫌う人が多いため」とのこと。
他にも、バリアフリーの観点からふたの開閉をしないで済むように、樹脂製なので壊されないように、コストを下げるため、ふたの掃除の手間を省くためなどの理由があります。
つまり公共のトイレにふたが無いことが多いのは、不特定多数が使うから。家庭のトイレにはふたがあるほうがいろいろと便利なことが分かります。
最近では、公共のトイレでも自動でふたが開閉する最新のタイプを見かけることが増えています。外出先で美しく清潔なトイレに出会うとほっとします。トイレがキレイだと施設全体の印象がよくなるということで、トイレに力を入れているところが増えているのです。
トイレのふたの重要性が広まったことで、新しい機能が登場しました。立ち上がると、ふたが自動で閉じた後に自動洗浄をする機能です。
ふたの開閉や自動洗浄の機能はこれまでもありましたが、どちらも立ち上がってから一定の時間が経つと行われる仕組みでした。しかしニューノーマル以降の衛生意識の高まりで、ふたを閉めてから流したいという要望が増加。
ふたが自動で開閉する「オート開閉」機能がある機種では、便座から立ち上がった後は、ふたが閉まってから自動洗浄をする、リモコンの洗浄ボタンを押すことでもふたが閉まった後に洗浄をするなどの設定ができるようになりました。
TOTO株式会社によると「大便器外への水飛散を防止するためにふたを閉めることは有効と考えられますが、本来の目的は封水への落下物防止・意匠性・断熱性です。結果的に「水飛散」は軽減できると考えられますが、ウイルス感染への効果等に関する医学的な知見は持ち合わせておりません。」
とのことですが、人々の意識や生活スタイルの変化に合わせて、トイレの機能はどんどんと進化をしているのですね。
しかしそうはいっても、時にはふたを閉め忘れてしまうことも。そんな時こそ役立つのが、ふたを自動で開閉してくれる「オート開閉」機能です。
これまで家庭のトイレでは、オート開閉はそれほど重要視されていませんでした。何となく便利そうという理由で付けていた人も多かったことでしょう。
しかし現在では、ふたの重要性を知り、必要に感じる人が増えています。TOTOによると「衛生意識の高まりにより、ウォシュレット(オート開閉機能)・自動水栓をはじめとするタッチレス商品の需要が高まってきています」とのこと。
「今後も在宅時間の増加により、「住環境をより快適にしたい」「水まわりの使用回数が増えたから、より省エネにしたい」といったご要望も増加していくと思われるため、TOTOの「きれいと快適」と「環境」を同時に実現する「サスティナブルプロダクツ」の需要も一層高まっていくと考えています」とのことでした。
コロナ禍でクローズアップされたトイレのふた。トイレを見直す際には、ぜひ「ふたの機能」にも注目をして、毎日を清潔に快適に、そして省エネにお過ごしくださいね。
※掲載の情報は、2023年5月現在の情報です。