LIFESTYLE人とつながる、街に広がる、日常が変わる「Be ACTO亀戸」June 27, 2023

2022年、亀戸の駅徒歩2分の地に、集合住宅「プラウドタワー亀戸クロス」と、商業施設「カメイドクロック」が誕生。両プロジェクトを手掛けた野村不動産は、地域の方々とともに、地域の価値を向上させるためのエリアマネジメントにも取り組んでいます。活動のコアとなるのが、「まちのリビング」を備えた会員制コミュニティ「Be ACTO亀戸」。今回は、この試みが生まれた背景や、日々の活動内容、今後目指していきたいものなどについて、野村不動産の社員であり、一般社団法人ACTO亀戸の事務局員も務める長谷部尚子さんにお話を伺いました。

長谷部尚子Hasebe Hiasko
事業創発本部エリアマネジメント部に所属。2022年にオープンした、「プラウドタワー亀戸クロス」内にある、Be ACTO亀戸「まちのリビング」の立ち上げから参画し、現在は運営、渉外活動などを担当。

サスティナブルな街づくりは、人のつながりから始まる。

2018年に野村不動産は、自分の住む街をよりよくしていこうと考える“シビックプライド” の醸成へとつながる街づくりのために「BE UNITED構想」を発表しました。本構想では、ハードとしての街づくりに加えて、個人や団体、学校や企業などの多彩なプレイヤーが連携することによって街に対する愛着を育み、何世代も住みたくなるような、サスティナブルな街づくりを目指します。

「BE UNITED構想」を実現していくための第一弾となったのが、プラウドシティ日吉に拠点を持ちながら活動を行っている「Be ACTO日吉」。「まちのリビング」「まちのスタジオ」「まちのワークスペース」などのシェアスペースは、地域の方で賑わっています。続いて2022年には第二弾となる、Be ACTO亀戸が発足。「ACTO」という名前には、誰にでも扉が開かれた場所「あくとびら」と、さまざまな活動の「アクション」になってほしいとの思いが込められています。

予約不要で自由に利用できるラウンジ

それぞれの“好き”や“得意”を、気軽に提供しあいたい。

「Be ACTO亀戸」に入会するとできることは、主に3つ。
エリアデザイナーを務める長谷部さんがお話してくれます。

「まず、会員になると『まちのリビング』をご利用いただけます。フリーWi-Fiやドリンクサーバーもあるので、平日はワークスペースとして使われる方が多いですね。『プラウドタワー亀戸クロス』の居住者は世帯で月300円、それ以外の方でも月500円で使い放題なので、コワーキングとしても非常にリーズナブルだと思います。どなたでも会員になれますので、沿線に住んでいる方や、通勤で亀戸を経由する方などにも重宝するのではないでしょうか」。

また、小さなお子さまを連れたママたちの利用も多いそう。孤独に育児に向き合う親を減らすために“脱孤育て”をスローガンに掲げる一般社団法人「ママリングス」が運営に入っていることもあり、子育て支援はひとつの軸になっているとのこと。2022年4月から会員募集を始めて、1年間で約700人の方が登録されました。

「それから、わたしたちが主催するイベントにご参加いただけます。子育て相談や日々の暮らしに役立つ教室、ものづくりから、街へ飛び出して地域とつながるイベントまで、毎月多彩な企画を用意していて、月ごとの予定をカレンダーでご案内しています。自然に地域の人と知り合いになれる時間がうれしいとの声をいただいていますね」。

地域の講師をお呼びしたダンボールアートのワークショップ

2023年のゴールデンウィークには、1周年企画として、飲み物や軽食をご用意しての感謝祭を実施。インテリアアドバイザーや、B級グルメに詳しい江東区のインフルエンサーをお呼びしたり、マッサージや子ども向けのワークショップも実施したりと、みなさま思い思いに楽しんでいただき、笑顔にあふれた和やかな1日になりました。

1周年の感謝祭はおかげさまで大盛況

そして最大の特徴であり、魅力であるのは、
自分でイベントやお教室を開催できることだと長谷部さんは言います。
「趣味や特技があって誰かに教えてみたいと思っても、集客をすべて自分でして、自宅に10人以上も人を呼んで…というのは大変ですよね。でも会員になれば、イベント申し込みフォームから問い合わせをしていただくだけで、アトリエやダイニング&キッチンも使えますし、宣伝の段階からお手伝いしますので、開催のハードルはかなり下がるのではないでしょうか。(こんなことできるかな?)(こんなことやってみたい!)という企画の段階でも構いませんので、ぜひお気軽に相談してほしいと思います」。

実際に取材当日も午前中はピラティス、午後には書道を教えられている方がいました。

また、野村不動産が何よりも大事にしているのは、主役は会員のみなさまであるという考え方。
「世代を超えて、さまざまな人が街に関わって、自分ができることを提供しあいながら、暮らしをより楽しんだり、生活の中に新しい価値を育んでいけたら素敵ですよね。エリアマネジメントの核心は、みなさまをリードすることではなくサポートすることだと思うんです」。

地元地域と、新しい住民との結節点へ。

そして亀戸の街には、どのような特徴があるのでしょうか。
長谷部さんは、下町らしさが色濃く残っていることや、昭和的な大らかさや熱気があること、
自治会活動やお祭りが盛んであることを感じているそうです。

「開発の段階から地域住民のみなさまの声を聞くという取り組みはしていましたが、いまは亀戸を活性化させるための、通称『亀活』という会議体があって、『Be ACTO』と『カメイドクロック』、商店街、町内会のメンバーが、より近い関係性でフラットに意見交換をしています」。

最近の議題は、毎年7~8月に行われる「亀戸赤からし市」のこと。食用の唐辛子を、ほうずき市のように鉢に入れて販売し、厄除け・邪気祓いにするという催しです。2022年は、カメイドクロックや町会の飲食店でも赤からしを使った期間限定メニューを出して、辛いメニューを楽しめるという企画を実施したそう。今年も地元の資産を活かしつつ、それを広げていくようなユニークなアイデアを検討しています。

もともとここは「サンストリート亀戸」という商業施設があり、地域の人たちが集う賑わいの中心でした。だからこそ「カメイドクロック」も、そして「プラウドタワー亀戸クロス」も、その愛着をつないでいくことが求められます。「カメイドクロック」は年間何百本にものぼるほどの多くのイベントを開催しているので、「Be ACTO亀戸」では、それらとコラボレーションして、数百人単位のイベントに関わることもあると言います。

カメクロフェスタでは、地域のお子さま向けに風船を配布

「『プラウドタワー亀戸クロス』は、2022〜2023年の1年をかけて引き渡しを終え、934戸の住まいには約3,000人の方が入居しました。近隣のみなさんにとっては、新しい住民が一気に増えて、正直どう関わっていいかわからないこともあると思います。一方で、亀戸に住み始めたばかりの方は、地域のことも町会のこともわからないでしょう。どちらの声も聞きながら、さまざまな取り組みを一緒にやって行く場所、地域と新しい開発をつなぐことが『Be ACTO亀戸』の役割だと感じています」。

次につながるコミュニティモデルになる。

既に亀戸に強い愛着が芽生えているという長谷部さんですが、ずっと自分が関わり続けることよりも、
地域住民の方で運営が自走していくことが理想だと考えています。

「野村不動産がまた違うエリアで開発を進めていくとき、参考になるような実績が作りたいんです。少子高齢化がさらに進んで、従来と同じ町会の機能が保てなくなったとき、例えば災害時には何が起きてくるのか。行政や学校と、どんな連携ができるのか?地域住民とのつながりを駆使して、あらゆることをカバーしていくような仕組みづくりは必須だと思う。試行錯誤の連続ですが、気持ちのよい距離感を持った風通しのよいコミュニティとして、『Be ACTO亀戸』を紹介していけたらという想いで取り組んでいます」。

マンションの住民同士をつなぐだけではなく、長くここに住んできた街のみなさんともつながりながら、新しい暮らしづくりを実現するという「Be ACTO亀戸」の挑戦。3年後、5年後、10年後にはどんなことが生まれているのでしょうか。亀戸の進化が楽しみです。