野村不動産ウェルネスのサービス付き高齢者向け住宅「オウカス」では、入居者の健康維持・増進を目指して、フィットネスクラブと共同で、独自の「オウカス・ウェルネスプログラム」を開発・実践しています。館内にはプロの運動指導員が常駐し、さらには看護師資格を持つ医療相談員をコンシェルジュとすることで、すべての入居者の健康をサポート。実際に入居者のみなさまの健康意識が高まり、歩行のスピードなどにも改善の成果が見られたことから、グッドデザイン賞を受賞しています。本記事では「オウカス 幕張ベイパーク」より、支配人の春日香南子氏、運動指導員の酒井祐介氏が「オウカス」の暮らしについて語ります。
「オウカス」は、自立型のサービス付き高齢者住宅。心身の機能を低下させずに楽しく過ごしていただくために、運動、食事、コミュニティ、医療介護連携の4つの視点からサービスを提供しています。
「自立型というところに、ここまでこだわっている施設は少ないと思います。もちろん身体が思うように動かなくなったときにケアをするという準備もありますが、そこをメインには考えていません」と話すのは、支配人の春日氏。ご入居に関しても、ご本人が選択されることがほとんどだそうです。
「ひとりの方だけではなく、ご夫婦や親子で暮らされている方もいます。外出も自由ですし、門限もありません。60代で仕事に行かれる方もいますし、飲みに行くのが好きな方や、長期のご旅行をされる方もいます。普段は食事をして、運動をして、お喋りをして…とみなさん思い思いに過ごされていますね。お盆やお正月はご家族とドライブやお食事に出かけたり、ご家族が泊まりにいらしたりと、ご自宅の生活とそう大きくは変わらないのではないでしょうか。」
すべての部屋にナースコールがあり、就寝されてから10時間以上動きがない際にはアラームが鳴るなど、いざというときの見守り体制は備えてはいるものの、緊急時や入居者から許可があった場合以外にはスタッフが部屋に入ることもない、と春日氏は続けました。
運動指導員の酒井氏は、運動プログラムについて次のように話します。
「ADL=Activities of Daily Livingという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、ADLとは日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作のことで、『起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容』を指します。ご自身の状態に合わせた運動プログラムを続けることでADLが落ちるのを防ぐことができたり、あるいは改善していくということがあります」
「オウカス」では床に座るエクササイズ、椅子に座るエクササイズをはじめ、ボーカリズムという喉の筋肉を鍛える専門的なコースや、屋外でのウォーキングなど入居者の健康状態にあわせた10-15種類のプログラムを用意しています。基本的にはみなさんご自身の好きなプログラムに参加されますが、「足腰が弱いのだけれど、どの運動をしたらよいのか」「自分にはどの運動のレベルがちょうどいいのか」などのご相談も多く、その際には酒井氏がおすすめのプログラムを案内します。
ADLが落ちるのを防ぐという運動プログラムの効果は、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
酒井氏いわく
「身体がほぐれたとか、すっきり軽くなったとか、筋膜リリースのように、その場で効果が体感できるものがまずあります。一方で体の癖や弱いところを見つけてコツコツとアプローチしていくことで、3-6ヶ月くらい経って変化が感じられるものも多いですね」
実際に運動されている方からは「体力がついてきて長く歩けるようになった」「歩くスピードが速くなった」「腰痛がラクになった」「姿勢が良くなったと褒められた」などの声が届いているそうです。
また、コミュニティづくりの側面からも運動は有効だそう。
「部屋にこもっているだけだと退屈だったり刺激がなかったり、さらにはコロナ禍でなかなか人との交流が制限されたりと、ストレスの溜まりやすい日々ですが、運動はストレス発散の面でも効果的です。グループレッスンなので友人もできやすいです」
酒井氏は運動の後にみなさんが楽しそうに会話されている姿を見るのが好きだそうです。運動をきっかけにお茶をしたり、ご飯を食べたりなど、同じ建物に住んでいる同士の自然なつながりが運動によって生まれているとも話しました。
春日氏も、つながりが生まれている実感を味わえるのは嬉しいと言います。
「みなさんのお声を伺いつつ、カラオケルームに音楽を流す企画をしたり、ゴルフコンペを実施したり、抹茶と和菓子を準備して茶話会をしたりとさまざまなイベントを行なっています。そのひとときを楽しんでもらうのはもちろんですが、気の合うお仲間ができていくことは、やっぱりとても嬉しいですね」。
重いものを持つことやひとりで入浴することなど、生活の一部に不安を感じる方には、週に2回の掃除、週に2回の買物などといった適切なサポートを選んで、介護保険の申請をお手伝いしているとも語る春日氏。
「例えば認知症というと特別な病気にも思いがちですが、歳をとれば筋肉が衰えるというのと同じように、脳の働きも落ちてくるというのは自然の摂理ですよね。物忘れをする方も当然いらっしゃいますので、ヘルパーが決まった時間に薬を飲むようにといったサポートはします。だからといって共同の生活ができないということはないんですよ。基本的に認知症はゆるやかに進んでいくものなので、最近ちょっと会話が少ないかもしれない。表情が変わったかも知れないということを、自然な関わりの中で把握しつつ、防いでいくように働きかけをしています」
それぞれに適切なサポートをという姿勢は、酒井氏も同様です。
「バランス感覚に不安がある、体力そのものに不安があるという方も多いので、安全第一をモットーにして、プログラムごとに適切な定員を変えています。スポーツクラブとは違ってダイエット目的の方などはほとんどいませんので、『筋トレして代謝を上げて痩せやすい身体を』というようなことは言わなくなりましたね」
大切にしているのは、冷えの予防や、関節の動きやすさなど身体の機能改善。自分の仕事は介護を手伝うことではない、なるべく介護を受けずに済む生活ができるように予防することだと酒井氏は考えています。さらに、健康はゴールではないと春日氏は強調しました。
「もちろんご入居されている方の健康増進は大切なことですが、本当の目的はその先にあります。もう1回仕事をしてみたいとか、新しい趣味を始めたいとか、孫を連れて行ったことのない場所に旅行してみたいとか、心身の健康があることでワクワクすることや挑戦したいことが考えられるし、行動できる。周りに迷惑をかけたくない気持ちはもちろんわかります。だからといって高齢者がひっそり慎ましやかに日々を送るべきだということはないんです」
オウカスという名前に込めた思いは、人生を謳歌する住まいでありたいというもの。
人生100年時代、何歳であっても新しい景色を見続けていきたい。
ウェルビーイングなライフスタイルに、年齢制限はありません。
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