暮らしのTIPSモデルルームへ行く前にやっておくこと
マイホーム選びは「3つのP」で整理しよう
January 28, 2025

「引越しをしたい」、「新しいマンションが欲しい」そう思い立った時、あなたは何から始めますか。資料請求でしょうか。それとも、「モデルルームの見学予約」かもしれませんね。「マンションギャラリーで実物を見ると、気分が盛り上がりそうで楽しみ」という方も多いことと思います。

あなたが、「理想のマンションと早期に出会いたい」と思っているならば、モデルルームやマンションギャラリーへ行く前に、やっておきたいことがいくつかあります。さらに、購入予算など、お金についての自分の希望を明確にしておくことも、大切な事前準備です。今回は、「モデルルームへ行く前にやっておきたいこと」をご紹介します。

購入を思い立ってから契約するまでの期間は?

すでにマイホームを購入した方々は、「家を買いたい」と思い立ってから売買契約までどれくらいの時間をかけているのでしょうか。株式会社リクルートの「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査※1」によれば、約半数の方が、購入を思い立ってから6ヶ月以内に契約にいたっています。ボリュームゾーンは「3~4ヶ月以内」の26.4%、さらに「2か月以内」が19.9%と続きます(下図参照)。

ただ、物件選びの軸がないと検討の期間が長引いてしまいます。
理想のマンションと早期に出会い、適した資金計画で安心して契約に至るには、ポイントがあります。見ていきましょう。

※1 株式会社リクルート「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」

短期で理想のマンションと出会うには、“3つの知る”が効果的

検討物件の数が多かったり、検討期間が長かったりすると、モデルルームの訪問回数も増えがちで、非効率になるケースもしばしばです。一方、モデルルームを見学した時に、「このマンションこそ、探し求めていた理想の住まいだ」と早期にマッチングするケースもあります。理想のマンションを早いタイミングで見極めるには、事前準備の質と量が重要です。

事前準備には、“3つの知る”が効果的です。“3つの知る”とは、「自分を知る」、「相手を知る」、「世間を知る」の3つ。なかでも重要なのが、「自分を知る」です。

「自分を知る」
誰と、どこで、どのような暮らしを、どのような住空間で送りたいのか。ライフプランやライフスタイルを考えることです。長期で住む予定だったり、終の棲家として購入したりするケースでは、現在のニーズを満たすことのみを考えて購入すると、ライフスタイル等の変化により、次第に住み心地が悪くなることもやむを得ません。

例えば、「2人の子どもに子供部屋を」と部屋数の多い住まいを選んでしまうと、子どもが独立した時に、使い勝手が悪くなったり、「通勤に便利だから」と駅近のマンションを購入すると、退職後は駅近より公園に近い方が落ち着くなぁと思うようになったりすることもあるでしょう。中長期の希望を100%満たすことはハードルが高いのですが、ライフスタイルの変化を想定して選択するのとそうでないのとでは、将来にわたっての満足度に差が出ます。

さらに、「自分を知る」には、「自分のお金を知る」ことが含まれます。これは、自分の適性購入予算はいくらか。家計に負担のない住宅ローンの借入可能額はいくらか。など、自分のお金と真摯に向き合って希望や条件を整理するステップです。

「相手を知る」
「相手を知る」とは、契約の相手となる不動産会社や金融機関、さらに、マンションの物件概要や管理体制、立地条件等のエリア情報、住宅ローンや団体信用生命保険など、諸々の費用をも含めた相手方に関わる情報収集です。

「自分を知る」だけ、また、「相手を知る」だけでは、理想のマンションを見極めることはできません。自分と相手をよく知って初めて、両者の条件が高いレベルでマッチングするのです。そして、購入好機を掴むには、「世間を知る」ことがポイントとなります。

「世間を知る」
不動産の相場や市況、景気動向、金利の動き、税制や住まいのトレンドなど、マイホーム購入をとりまく環境や社会の動きを捉えることです。住宅ローンを利用してのマンション購入であれば、金利動向とともに、賃金の上昇率なども重要です。不動産税制の改正も資金計画や返済計画に影響を与えます。年度内か翌年度かなど、購入時期の判断材料となる場合も少なくありません。

理想の住まいの条件は、“3つのP”で整理

「どのようなマンションで暮らしたいですか?」と訊ねると、広さや間取り、最寄駅やエリアなど、様々な希望条件が出てくることと思います。書き出して眺めてみるとどうでしょう。例えば、間取りや設備仕様など、室内の条件に偏っていたり、通勤の利便性だけにこだわっていたり、ということはありませんか。

購入動機や希望条件は、現在の住まいへの不満や不安が出発点となっていることも多く、偏ってしまうのは当然です。マンション選びのご相談では、「そう言う点も、考えねばならないのですね。思ってもみませんでした」というコメントをよく頂戴します。そのような偏った状態で、モデルルームを見学するとどうでしょう。自分が気になっている点は、よく観て質問もするけれど、関心が無い点は、重要ポイントであっても見逃してしまうかもしれません。

モデルルームやマンションギャラリーへ行くまえに、「3つのP」で希望条件を抽出し、整理しておくことをお奨めします。「3つのP」とは、「Place(立地)」「Plan(プラン)」「Price(価格)」です。一つずつ確認していきましょう。いずれの項目も、思いつく限りの希望条件を書き出し、優先順位を付けると効果的です。希望条件を書き出すワークはとても楽しく、入居後の暮らしを想像すると、ワクワクします(※「表1」参照)。

◎「Place(立地)」
最寄駅やエリアの条件は、優先されるケースが多く、希望条件をピックアップしやすい項目です。思いつく限り書き出し、優先する順に番号を振ってみてください。例えば、沿線名、最寄駅名、徒歩分数、通勤時間30分内、乗り換えなし、始発駅、◎◎学校まで〇キロ内、大型スーパーが徒歩圏、自家用車の利用時の道路事情が良い地域など、です。

マンション価格が上昇し、希望条件を満たす物件が予算を超える状況となれば、立地条件で調整することが多くなります。その際、希望条件や優先順位が明確ですと、「最寄駅は違ってもいいけれど、〇〇沿線は外せない」、「通勤時間が希望どおりならば、沿線の条件は譲歩する」など、納得しながらの絞り込みが可能です。

◎「Plan(プラン)」
間取りや専有面積、開口部の向きや階数、設備仕様など、専有部分に関わる項目から、構造や共用部分や管理など、モノに関する希望条件を書き出し、優先順位を付けていきます。書き出した後、チェックしたいのは、リフォーム等で変更可能な箇所と変更できない箇所についての優先順位です。例えば、間取りや設備仕様は、費用は発生するけれどもリフォーム等で変更可能です。一方、専有面積や何階建ての何階住戸か、また、共用部分等については、自分の意思のみで変更することはできません。変更しにくい項目を優先すると安心です。

◎「Price(価格)」
お金に関する希望条件をピックアップします。「Price」は、「Place(立地)やPlan(プラン)より、希望を出しにくいなぁ」と言う方が多い印象です。ですが、「お金」と言えば、購入予算の希望や諸費用、住宅ローン利用時の毎月返済額や完済年齢、固定金利か変動金利か、管理費や修繕積立金、団体信用生命保険の内容等、多くの項目が該当します。お金に関する希望条件を書き出すことで、費用等に関する知識や理解が深まるというメリットも生まれます。ぜひ書き出してください。

項目 私の希望 こだわりポイント
優先順位
1 理想の暮らし
ライフスタイル
2 購入目的 目標時期
何のために、いつ
3 立地・交通・エリア・利便性・住環境
4 住戸・広さ・仕様・建物・構造・管理・共用施設
5 価格・諸費用・住宅ローン・予算

※表1「3つのP」で希望を整理

“3つのP”が整ったら、モデルルーム見学へ!
リアル見学の前に、オンラインサービスも有効活用しよう!

コロナ禍以降、進化したのが、オンライン相談やメタバースサロンです。「モデルルームに行きたいけれど時間が取れない」、「希望エリアが住まいと離れている」、「手軽に、自由に情報収集したい」などのニーズに応える嬉しいサービスです。

各物件のホームページでは、モデルルームの写真を間取図とともに見学者の動線で展開されていて、よりイメージしやすくなっています。また、オンラインサロンでは、自宅にいながら、立地や建物の特徴はもちろん、価格情報や資金面の相談まで案内を受けることができ、便利です。

さらに、個別物件に導入されているメタバースサロンでは、メタバース空間に物件情報が分かる掲示板や動画が設置され、訪問者自身がアバターとなって、匿名で街や物件の情報収集を行うことができるため、訪問時間を気にせず、街や物件をより鮮明にイメージでき、自分のペースで情報収集が可能です。

詳しくは公式HPを御覧ください
https://www.proud-web.jp/mansion/f116160/

※物件公式サイトへ遷移します。

そして、その中から、自分の希望条件に合った“実際に見学したい”と思える物件にリアル訪問すれば、よりスムーズに理想の住まいで出会えるのではないでしょうか。思い立ってから契約までを効率的に進めてくれる強力なサポーターと言えそうです。

おわりに

モデルルームに行くまでにやっておきたい事前準備として、「3つの知る」と「3つのP」というアプローチをご紹介しました。家族で暮らすためのマンション選びの場合は、まずは、家族が各々「3つのP」を書き出し、その後に皆で検証すると、家族総意の希望条件が出来上がって、住まい選びがさらにスムーズとなります。

また、マンション購入を思い立ったら、1冊のノートをつくっておくと便利です。住まいへの希望、モデルルームでのチェック項目やヒアリング項目など、思いついた事項や確認事項への回答などを記録します。家族が自由に書き込めるようにしておくと盛り上がりますし、モデルルーム見学の感想を記録しておくと、複数マンションを比較検討する際にも有効です。

モデルルームへ行く前に事前準備を行い、リアルとバーチャルを上手に併用して、理想のマンションと最高のタイミングで出会ってください。

※掲載の情報は2025年1月時点の情報です

大石 泉Izumi Ohishi
ファイナンシャルプランナー CFPⓇ。1級FP技能士。宅地建物取引士。産業カウンセラー。大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。住宅雑誌の編集・制作に約15年勤務の後、’01年にFP事務所を設立。老若男女を対象に新聞による経済教育、ライフプラン、資産形成などの講座や研修を大学や企業へ展開。個人向けにはファイナンシャル・プランニング、ライフ&キャリアプランニングを提供。金融リテラシーの普及活動が評価され、金融庁と日本銀行から2014年度金融知識普及功績者として表彰される。